川崎Fモヤモヤ吹き飛ばす快勝 小林主将が1G1A

試合後、子どもサポーターにデコポンをプレゼントする川崎F・FW小林(撮影・山崎安昭)

<明治安田生命J1:川崎F3-0新潟>◇第10節◇5日◇等々力

 川崎フロンターレがエースFW小林悠(29)のゴールなど、今季最多の3得点を挙げてアルビレックス新潟を下し、5戦ぶり白星を手にした。4月30日のC大阪戦で小林がPKを外し、チームも完敗。直後に開いた選手間ミーティングで、球際や戦う姿勢を再確認したことが奏功し、3得点無失点で快勝した。16強進出がかかる9日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のイースタン(香港)戦に弾みをつけた。

 今までのモヤモヤを吹き飛ばす快勝だった。後半5分。MF阿部のスルーパスに抜け出した小林が、右足を振り抜いてネットを揺らした。後半30分には、阿部のゴールをアシストして勝負あり。主力のMF中村が腰痛で欠場の中、川崎Fらしい鮮やかなパスワークで流れの中から挙げた3得点に「選手同士のイメージとパスが合った。いいコンビで得点できたのは大きい」と笑顔だった。

 4月1日の仙台戦を最後に白星から遠ざかった。甲府、札幌、清水に引き分け、0-2と完敗した前節C大阪では、PKを外して先制の好機を逃していた。エースと主将の2つの重責を背負う男に中村がこう声をかけた。「PK外しても下を向くな。お前が下を向いたらみんなが下を向く。顔を上げろ。それがチームの先頭に立つ者の宿命」。

 小林は敗戦直後の練習で、選手間ミーティングを呼び掛けた。「球際にいかない選手が浮くぐらいにならないと」「要求の声は年齢関係なく言っていく」など各選手が思いを吐露。球際への強さや戦う姿勢を練習からしっかり出していくことを確認し合った。自身も終盤、相手のミドルシュートを前線から戻ってブロックするなど体を張り、先頭に立って戦う姿勢を見せた。C大阪戦を「いろんなことを背負って戦っていると実感したし、悔しさを晴らしたいと思っていた」と振り返り「戦う姿勢をみんなが出せたのは良かった」とほっとした表情を浮かべた。

 主将として、エースとしての責任をしっかり果たし「自分もまた、いろんな経験をして強くなれると思う」と気を引き締めた。この試合でMF大島、DFエドゥアルド、DF武岡が復帰。9日には勝てば1次リーグ突破が決まるACLのホーム・イースタン戦が控える。たくましくなった主将が、チームを上昇気流に導く。【岩田千代巳】