久保建英に続く逸材発見 江南南・木村が7発得点王

第3ピリオドで決勝ゴールを決める江南南FW木村(左端)(撮影・狩俣裕三)

<JA全農杯チビリンピック2017 小学生8人制サッカー全国決勝大会>◇最終日◇5日◇神奈川・日産スタジアムほか◇準決勝、決勝

 こどもの日の小学生スポーツ祭典「JA全農チビリンピック2017」が行われた。8人制サッカー決勝では、初出場の江南南サッカー少年団(関東第2)が、2-1で2年ぶり2度目出場のサガン鳥栖U12(九州)に勝って初優勝。1-1の第3ピリオド8分に決勝弾を決めたFW木村建貴(6年)が、大会7ゴールで得点王に輝いた。

 江南南FW木村が、金メダルを首にかけ、笑顔で優勝カップを抱えた。「予選リーグであまり点をとれていなかったので、決勝で決めたのは本当にうれしい」。憧れのFWメッシ(バルセロナ)が15年クラブW杯で優勝した日産スタジアムのピッチでのゴールに興奮した。

 1-1で迎えた第3P、ストライカーとして結果を出した。左サイドをドリブル突破したMF上西遥喜(5年)のパスを右足で押し込んだ。準決勝のハットトリックなど、今大会7得点。「得点王なんて信じられない」。週5日の全体練習以外にも、通学する埼玉・鴻巣市立赤見台第二小の校庭で毎朝1時間弱、個人練習。GKと1対1の場面を想定した反復が結実した。

 ドイツ1部ヘルタで活躍する日本代表FW原口ら、数多いチームOBの存在が、プロ選手になる目標を明確にしている。山形DF茂木、大宮MF黒川、広島MF松本と3年連続でプロ選手が誕生。OBが出場するJリーグを観戦しながら、現地で強豪と練習試合を積み、実力を磨いてきた。2年前の夏には原口が練習を見に訪れ、ドリブルやシュートなどを直接指導。木村も「『頑張ってください』と声をかけてくれたことは思い出」と活力となっている。

 大会前には松本暢佑監督(66)を通じてLINEで「自分の力を出せ」と激励文も届いた。原口時代の2度の優勝以来、チームとして他の全国大会も含めて4度目の日本一。同監督は「元気みたいなスーパーな選手はいないが、今年は全員が高いレベル。子供たちが憧れでなく、近い将来プロになれるんだと思う目的意識は強みだと思う」と喜んだ。

 第2Pに同点となる約30メートルの直接FKを決めたDF川原良介(6年)は「力は100%出せました。もっと練習して強くなりたい」。主将のDF為谷永渡(6年)も「絶対に優勝できると思っていたので、自信になった」。プロの夢をかなえる1歩となる頂点をつかんだ。

 ◆北沢豪氏の目 これまでの決勝戦よりも、ボールを奪ってからの切り替えが早かった。攻守に隙のない決勝だった。小学生年代は攻撃の練習に重点を置きがちだが、決勝に進んだ両チームは守備がしっかりとしていた。その高い守備力を打ち破った江南南サッカー少年団は、MF上西くんのアイデアのあるパス、同点ゴールのDF川原くんのFK、DF馬場くんの運動量は面白い。あと決勝点を決めたFW木村くんの反転の動きは、他にあの動きをできる選手はいない。有望な選手が多い大会だった。(日本サッカー協会理事)