中本健太郎14回目で初V「楽しみ」世界陸上名乗り

拳を突き上げ優勝のゴールテープを切る中本(撮影・栗木一考)

<別府大分毎日マラソン>◇5日◇大分市高崎山うみたまご前~別府市亀川漁港前折り返し~大分市営陸上競技場(42・195キロ)

 ロンドン五輪6位の中本健太郎(34=安川電機)が2時間9分秒32秒でマラソン初優勝を果たした。日本人1位は8月の世界選手権(ロンドン)の代表選考の対象となるレースで、福岡国際(昨年12月)の川内優輝(29=埼玉県庁)のタイムより21秒遅れ。今月26日の東京、来月5日のびわ湖の結果次第だが、2大会ぶり3度目の代表入りに名乗りを上げた。

 中本は右手を小さく上げてフィニッシュテープを切った。2時間9分32秒。前半は先頭集団の後方で力をため、39キロ手前で2時間7分台の記録を持つデベレ(エチオピア)との一騎打ちから抜け出した。「タイムは物足りなさを感じますが、優勝がこんなに気持ちいいと初めて知った」とマラソン14度目にして初優勝の喜びに浸った。今後の世界選手権選考レースは出場しない意向で「楽しみな半面ドキドキ」と吉報を待つ。

 13年世界選手権では5位となったが、その後は股関節や右足のけがに悩まされ、不振にあえいだ。もう34歳。ここで結果が出なければ、長くは続けられないと引退の覚悟も決めていた。3年前から栄養士のサポートを受ける。食事の写真を送り、食べた量、不足する栄養素の指摘を受ける。「体力の衰えはある」と話すが、体調管理で年齢と向き合い、復活の足がかりを築いた。

 日本陸連の長距離・マラソンを統括する河野ディレクターは「前半の無駄のない走り、レースが動き始めた時の判断が冷静」と評価。日本人3位までが世界選手権代表の選考対象になる福岡国際、東京、びわ湖毎日と違い、同1位のみ対象の大会とはいえ、好印象は残した。選考レースは混戦となりそうで、尾県専務理事も「頭を痛めると思います」と苦笑いだった。【上田悠太】

 ◆中本健太郎(なかもと・けんたろう)1982年(昭57)12月7日、山口県下関市(旧菊川町)生まれ。菊川中では野球部で外野手。山口・西市高で陸上を始め、拓大では4年時に箱根駅伝に出場して7区16位。05年に安川電機入社。家族は玲子夫人(28)理久くん(4)莉菜ちゃん(2)。172センチ、57キロ。

 ◆世界選手権の代表選考 男子マラソンの代表枠は最大3。福岡国際、東京、びわ湖毎日で派遣設定記録の2時間7分以内をマークすれば自動内定。これで枠が埋まらない場合、3大会の日本人3位までと別府大分毎日の日本人1位選手を対象に、天候やタイムなど選手を総合的に勘案し、世界選手権で活躍が期待される選手を選ぶ。複数の選考会に出場した場合、設定記録に到達しない限り、最初のレースが評価対象になる。