【THE GAME〈6〉1999年6月12日:阪神5―4巨人】新庄が敬遠球を!
球史に残る阪神新庄剛志の「敬遠球打ち」で決着がついた試合。ラストの劇的さ、レアさが目立つけれど…試合内容は野球ファンが楽しめる好ゲーム、さらに背景も豪快なものでした。(2020年5月6日掲載。所属、年齢などは当時。敬称略)
プロ野球
★8回に同点ソロ
就任1年目で、異様なまでの盛り上がりを見せていた野村阪神。それを象徴するような試合だった。野村阪神は3年連続最下位に沈んだので想像できないかもしれないが、この試合の時点で首位攻防戦だった。
しかも首位は野村率いる阪神の方だ。それを2ゲーム差で追う長嶋巨人。阪神の4番打者は新庄で、巨人の4番は清原和博。虎党だけでなく野球ファンにもたまらない試合だった。
阪神川尻哲郎、巨人斎藤雅樹の先発で始まった接戦。先制は巨人だったが阪神も粘る。1―3と2点を追う7回裏は、代打・八木裕の適時打などで同点とした。
それでも巨人は8回、村田真一の本塁打で1点勝ち越し。しかし、ここで甲子園を歓喜させたのはやはり新庄だった。8回裏に同点ソロ。敬遠打ちがクローズアップされるが、しっかり本塁打も放っていた。
そして、有名な延長12回裏1死一、三塁の場面を迎えた。
★「柏原さんも打っている」
巨人ベンチは、マウンド上の槙原寛己に敬遠の指示を出す。捕手はこのシーズン、近鉄、中日を経て巨人に移籍していた光山英和だった。
1球目、光山は立って構えていた。しかし槙原の初球が低めに来た。新庄の直前、今岡誠も敬遠で歩かせていたのだが、そのときも槙原の投球は低くなっていた。
座った方がいいと感じた光山は、ジェスチャーで「座りましょうか?」と槙原に伝えたが答えは「大丈夫」。そのやりとりの際、光山は新庄の様子が気になっていた。

高原寿夫Hisao Takahara
取材歴30年を超える〝アラカン〟記者。
社会ネタから始まって吉本興業から宝塚歌劇の芸能取材、野球ではイチロー日本一(1996年)近鉄劇的優勝(2001年)星野阪神V(2003年)緒方カープ連覇(2017年)など数々の瞬間に立ち会ってきた。
日刊スポーツ大阪本社編集委員。
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