【ルポ】英雄・大野稼頭央がソフトへ/奄美大島の公立高・大島に行ってきました〈4〉

鹿児島と沖縄のほぼ中間に位置する奄美大島。2021年(令3)7月26日に、徳之島、沖縄東北部及び西表島とともに国内5件目の世界自然遺産に登録されました。人口約6万人、亜熱帯の離島から、鹿児島県立大島高校は、22年春のセンバツに出場。同年のドラフトでは、エース左腕の大野稼頭央投手(18)がソフトバンクから4位指名を受けました。純に野球に打ち込むしまっちゅ(島人)たちをルポします。4回連載の最終話。

高校野球

島で唯一 掛布氏訪問のバッセン「しまかわ」卒

2004年(平16)8月6日。稼頭央少年は大野家の長男として、奄美大島の龍郷(たつごう)町で生まれた。

家から徒歩5分ほどの場所にアマミブルーと称される透明度抜群の海が広がる。遊び相手はいつも自然。サッカー、バレーボール、野球も記憶に残っていないころから始めていた。

幼稚園の時、島で唯一のバッティングセンター「しまかわ」に通いつめた。

阪神が日本一に輝いた85年の暮れにオープン。開業記念に「ミスタータイガース」掛布雅之氏が訪れ、島でも大きな話題になった。

「しまかわバッティングセンター」には開業時に掛布雅之氏(左)が訪れた

「しまかわバッティングセンター」には開業時に掛布雅之氏(左)が訪れた

離島の球児にとっては貴重な老舗の練習場所だ。