佐藤駿、自ら決断した覚悟の4回転ルッツで再び表彰台へ 素朴さと強さが表れた6日間
昨年の4大陸選手権で銅メダルを獲得した佐藤駿(20=エームサービス/明大)が、今回は1つ順位を上げて、2位で表彰台に上りました。
ショートプログラム(SP)で自己ベストを更新。
その高得点に導いたのは、悩み抜いた4回転ルッツの成功でした。
今季最終戦で好成績を残した佐藤の舞台裏を描きます。
フィギュア
試合2日前の練習後のこと。
「勝ちにこだわって攻めたい」と繰り返す鍵山とは対照的に、佐藤は「日本勢3人で表彰台に立てるように、僕は足を引っ張らないように…」と控えめだった。
日下匡力コーチ(44)も「謙虚」と評する選手。
言葉数も多い方ではないが、内に秘めた芯の強さは端々からうかがえた。
初めて取材して感じた素朴さと意外さを記したい。
SP構成が決まらない
どこまでも高いビルが立ち並ぶ上海・オリエンタルスポーツセンター。
先を見ようと見上げても、もやがかかっていて、どこまで続いているのか分からなかった。
1月下旬の上海。深夜12時を回っても「GUCCI」などの高級ブランドの文字が輝く街で、思索にふける青年がいた。
「(調子が)良くないわけじゃないんですけど、ショートの構成に関していろいろ悩んでて…」
1月30日、初日の練習を終えた佐藤駿は、小さく開いた口元から素直な思いを明かした。
前回も、そうだった。
2023年4大陸選手権が開催される約1週間前。最終調整として臨んだ青森・八戸国体で冒頭の4回転フリップが3回転になり、トリプルアクセル(3回転半)にもミスが出た。
「ルッツがはまってなくて、ちょっと調子悪かったので、フリップを4大陸に向けた挑戦で入れようと思って入れたんですけど、まだ難しい。ほんとにショートはどうしていいのかわからなくて。『ショートは弱い』っていうイメージがついていっちゃうかなと思っているので、迷走してます」
構成は自分で考える。
疲労度や調子を考えながら、最適解を模索することは常だった。
1年を経た今回も、その悩みは頭の中をぐるぐると巡っていた。
移動疲れ、慣れない氷…想定外が続く
今年の開催地は、中国・上海。同じアジアのため、飛行機でおよそ2~3時間といったところだ。
前回の北米と比べて、移動の疲れや時差の問題は少なく思われたが、そんなことはなかった。
飛行機が約4時間遅延。夕方到着の予定が、午後10時にまでずれこんだ。
「結構近いイメージがあったけど、長かった。カナダとかヨーロッパ行ってるぐらいの体感」と苦笑い。
当日はホテルへ直行して移動疲れをいやし、翌日正午から氷上練習。疲れが残っている上、メインリンクは苦手とする柔らかい氷だった。
SPの構成をどうするか-。
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大阪府泉大津市出身。2022年4月入社。
マスコミ就職を目指して大学で上京するも、卒業後、大阪に舞い戻る。同年5月からスポーツ、芸能などを取材。
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