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日本代表候補選手インタビュー

初戦がカギ、緻密さを武器に

ジャリコ・ジャパンは決勝トーナメントへ進出できるのか。パブリセビッチ監督の手腕に期待がかかる
ジャリコ・ジャパンは決勝トーナメントへ進出できるのか。パブリセビッチ監督の手腕に期待がかかる

 日本代表がファイナルラウンドに進出するには、初戦のドイツ戦が重要なカギとなる。ドイツは、NBAマーベリックスの主軸、213センチのダーク・ノビツキーを中心とする大型チームで、今大会の優勝候補の1つ。日本代表は、世界選手権という大舞台で、これまで経験したことのない高さとパワーに立ち向かうことになる。

 初戦であるがゆえ、ドイツも手抜きせず、万全を期して戦うことが予想され、先発メンバーを簡単には下げないだろう。日本にとっては得点的にも、体力的にも、精神的にも、厳しい戦いになることは間違いない。

 だが、この試合を“捨て試合”にしてはならない。勝機が薄い、タフな状況下で、自分たちのどういったプレーが世界に通用するかを試し、収穫を得なければならない。次の試合への準備をする必要があるからだ。そのためにはだれ1人として、一瞬も無駄にできない。全員が100%以上の力を出し切り、表現することが必要になってくる。

 ジェリコ・パブリセビッチ監督が就任してから4年目。日本代表史上初の外国人監督のジェリコは、今大会をにらんで劇的な若返りを図り、大型化を図ってきた。最後まで走り負けない体力をつけるため、基礎トレーニングを重視。既成概念を打ち破って、母国クロアチアを中心に1カ月以上の長期の欧州遠征を行うなど、実戦経験も積ませた。何よりも、規律のとれた組織的なプレーを目指してきた。

 大型化を図ったとは言っても、世界的に見ればまだ小柄だし、パワーも劣る日本だが、速さと緻密なプレーで高さとパワーに対抗する。規律正しい、統制の取れたプレーは日本人の気質にも合っており、それが日本の武器になってくる。

 バスケットボールはチームスポーツ。場合によっては自分を殺してでも、チームの勝利のためにプレーしなければならない。逆に言えば、個人能力ではかなわなくても、チーム力でカバーすることはいくらでもできる。それを目指してきたジェリコ監督が、本番でどのような采配を振るうかも楽しみだ。

 また、若手中心のチームでメンタル部分が不安視されるが、若いから1つのプレーが大きな自信となり、爆発力になることもある。そのように若さをプラスにとらえ、堂々とプレーして欲しいし、プレーで自分をドンドン乗せて、チームを乗せていってもらいたい。そして、これまでやってきたことや自分自身に自信をもって、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることを期待する。

  • 倉石平
    倉石平(くらいし・おさむ)
     1956年、新潟県出身。早大卒業後、熊谷組で日本リーグ、全日本総合選手権大会など数々の大会で頂点を極める。現役引退後はヘッドコーチとして熊谷組を率い、日本リーグ、全日本総合選手権大会優勝。その後、日本初のプロ契約コーチとして大和証券、日立を指導した。理論家の指導者として、数々の著書やNBAテレビ解説など、幅広い活動を展開している。早大スポーツ科学学術院助教授、日本バスケットボール協会男子強化委員。


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