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日本代表こう戦え!

スペースを広げ短いパスをつなげろ

ドリブルでの突破力に期待がかかるPG柏木真介
ドリブルでの突破力に期待がかかるPG柏木真介

 私は98年の世界選手権に出場したが、その時に外国選手の“重さ”すら感じる当たりの強さに衝撃を受けた。体をぶつけ合うことでスピードを殺され、体力を消耗した。00年9月のシドニー五輪前には、さいたまスーパーアリーナで米国と対戦したが、その時も当たりの強さを強烈に感じた。これはアジアの国々にはないものだ。世界を知るジェリコ(パブリセビッチ監督)が指揮するので、当たり負けしないようなトレーニングもしていると思うが、接触が増えると体力を消耗してしまう。今回もドイツ、スペインといった欧州勢と対戦するが、特にこれらのチームと対戦するときは体力勝負に持ち込まない試合をすべきだ。

 ではどうすべきか? ドリブルを多用するとどうしても接触プレーが多くなる。日本にはインサイドで勝負できる選手は少ないので、スペースを広げて短い距離のパスをつなげることで勝機を見出してほしいと思う。

 自分自身がポイントガードなので、今回もポイントガードの3人には期待している。私と同じアイシンの柏木(真介)は切り込んでいくタイプのガードで、3人の中では当たりに強い選手だ。先ほど言ったこととは反するが、柏木はドリブルで突破できるだけの体力があると思うので、その特長を活かしてほしい。高校、大学の後輩の圭(五十嵐)はスピードが持ち味。切れのあるプレーをしてスピードでボールをつなぐようにしてほしい。私と一緒に世界選手権でプレーした節政(貴弘)には数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験がある。試合の流れを読むことも得意で、時として奇策とも言えるプレーをすることもある。コートの上で彼らしいプレーを表現してほしい。

 竹内公輔も期待する選手の一人だ。走れる選手なのでランニングプレーを増やして、中距離でのシュートで勝負してほしい。身長はある(205センチ)といっても、欧州勢と比べれば決して高くはない。無理にインサイドに入るよりも、ある程度の距離からのシュートを有効に使ってほしい。

 日本代表の試合の話からは離れるが、とにかく中学生、高校生の人たちにはテレビにしろ、生での観戦にしろ本場のバスケットを見てほしい。世界大会を日本で見られるなんてめったにないチャンスで、本当に幸せなことだと思う。世界のトップが現在、どんなプレーをしていて、どのようなレベルにあるのか。それを感じることで刺激を受け、学ぶことも多いと思う。それが日本のバスケットの繁栄につながるはずだ。

  • 佐古賢一
    佐古賢一(さこ・けんいち)
     1970年7月17日、横浜市出身。北陸高3年時、高校総体で全国制覇。中大3年時から全日本入り。93年、いすゞ自動車。3年目から日本リーグ(JBL)2年連続MVPなどの大活躍で、チームも常勝軍団へ。全日本では10年連続司令塔としてチームを率い、31年ぶりに世界選手権出場という快挙も達成。02年、いすゞ自動車の廃部に伴い、アイシンへ移籍。アイシンの全日本総合3連覇、スーパーリーグ連覇に貢献した。「ミスターバスケット」の異名を持つ。179センチ、80キロ。


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