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スーパースターインタビュー

 今回の世界選手権で、王座奪回が至上命題の米国代表。チームを引っ張るのは、今最も熱い男、24歳のドウェイン・ウェイドだ。6月に終了したNBAファイナルで、マイアミ・ヒートを初優勝に導き、ファイナルMVPに輝いた若きスターは、金メダルを手にするために日本にやってくる。スター集団の命運を握る男に、大会への意気込みを聞いた。(聞き手:真田薫)

アテネ銅の雪辱晴らす

インタビューに答えるウェイド。金メダル獲得を目指して今大会に挑む
インタビューに答えるウェイド。金メダル獲得を目指して今大会に挑む

──NBA05-06年シーズンは「あなたの年」でしたね。そして今回は、再びの米国代表。ファイナル後、ほとんど休みもなかったけれど、疲れはない?

 僕は、自分が疲れたときに休むから大丈夫(笑い)。国を代表できるこの世界選手権のチャンスを逃したくはないからね。僕は、チームUSAとしてアテネ五輪に出場したけど、負けた(3位)。あの悔しさは忘れられない。今回のチームでは、僕がリーダーシップを発揮する立場にあると思っている。このチームを頂点に立たせるために、自分としてできる限りのことをするつもりだ。

──前回の国際試合(アテネ五輪)は、厳しい体験だったよね

 うん、タフだったねえ…。最後のゲームで勝つ前まで、メンバー全員が同じことを考えてたと思うんだ。「(USに)帰りたくないよ」ってね(苦笑)。でも、銅メダルをとった後に、僕たち若手は言ったよ。「よし、また戻ってくるぞ!」って。お互いに「お前がまた(五輪)参加するんなら、俺だって戻ってくるぜ!」って感じでね。実際に、レブロン、僕、カーメロ、アマレ(今回のアジア行きメンバーには入っていない)と、あのときの若手のメンツがみんな一緒に代表入りしたもんね。良かったと思ってる。

──アテネのときと今回では、チームの雰囲気はどう?

 ベターな雰囲気になっていると思う。自分自身、そのころより年を重ね、チームに対しての役割もより大きくなったと思うから。また(メンタル、レベル的に)、みんなが同じレベルに立っていると感じるし、同じ方向を向いて、お互いの意見を聞き合おうとしている。誰かの言うことは聞かなきゃいけないけど、誰かの言うことは聞かなくてもいいといったような誤差が全然ないんだ。そこが、このチームの良いところだ。コーチたちも「あれをやっちゃいけない」とか、「こうやらなきゃだめだ」といったようなことは言わないし、プレッシャーをかけるようなこともない。みんなそれぞれ、コート上で好きなことをやらせてもらえるから、スターターになるとかならないとかも、全然関係ない感じだ。

──今回のロースターでは、間違いなくあなたが「ゴー・トゥ・ガイ」だと思うけれど?

 うん、僕はただ、より素晴らしい選手になって、コート上でより賢くプレーしたいと思っている。このチームは若い。自分のスコアリングとか、いかに自分が派手なプレーをして目立つかとか、そんなことは考えちゃいないし、考えちゃいけない。チームが1つになることが一番、世界選手権を勝ち抜くのに重要なこと。大事なのは「みんなで金メダルを取りに行く」。これだけさ。

──では、代表チームでのあなたの役割は、マイアミとは完全に違うと?

 全く違うね。マイアミでは、僕がボールを持つことが、このチームでの15倍くらいある(笑い)。ここでは、自分にボールが回って来たとき、そのプレーを成功させることや、ディフェンスで良い働きをすることが大切だ。

ラスベガスで行われたプエルトリコとの親善試合で、ベンチでおどけるジェームズ(左)に笑顔を見せるウェイド(AP)
ラスベガスで行われたプエルトリコとの親善試合で、ベンチでおどけるジェームズ(左)に笑顔を見せるウェイド(AP)

──NBAファイナル優勝、そしてMVP受賞。その後、高額の契約延長にサインしたよね。あなた自身、もしくは周囲が変わった点は?

 まだ、ないかな。確かに新しい契約にはサインしたし、次から次へと雑誌の表紙になってくれという依頼とか、TVショーの出演依頼とか(ファイナル直後、人気トークショー番組で知られる「デビッド・レターマン・ショー」にも出演)はいっぱい来たけどね。でも、僕自身は、全然変わらないし、これからも、変わらないだろうな。僕は落ち着いた生活を好む男なんだ(笑い)。息子と遊んで、リラックスするのが一番の楽しみ。ドラマティックなことは要らない性分。家で、家族とゆっくりするのが、何よりのお気に入りさ。

走り回り、どんどんシュート打つ

──今回のチームのプレースタイルを説明してください

 若さとアスレティシズムを十分に生かし、できるだけコートを走り回るスタイルになると思う。今回のチームには、フェニックス(サンズ)のコーチであるマイク・ダントーニがスタッフ入りしているからね。彼のスタイルってのは、とにかく「ゲットアウト&ゴー(ラン&ガン)」だろ? みんながボールを争わなきゃいけないんだ。毎回毎回、ハーフコートでプレーをセットする必要がないのも、いいと思うよ。

──では今回は、前チームにあったような「禁止事項」がない?

 そう、何もない。もし自分がフリーになったら、どんどんシュートを打っていいんだ。

──“コーチK”ことシャシェフスキー監督はどんな方ですか?

 いつもポジティブだし、リラックスしてる。それって、とてもいいことだよね。コーチがネガティブでなくてポジティブ、かつ、必要なことと、必要でないことを明確に伝えてくれるのは、素晴らしい。

──世界選手権の前にアジア諸国でキャンプやエキシビションゲームを展開し、丸1カ月のロード・トリップだよね

 丸1カ月の長旅は確かに厳しい。けど、チームメートと一緒だし、みんないいやつだし、楽しみなこともたくさんある。勝って戻って来れれば、言うことなし。

ラスベガスでの米代表のキャンプでパスをするウェイド(AP)
ラスベガスでの米代表のキャンプでパスをするウェイド(AP)

──いろいろな国で、時差にもアジャストしなければならないけど、気をつけようと思っていることは?

 十分な休息を取ること、そして正しく食べること、かな? 休息と食事を正しくとらないと、体調不良につながるからね。栄養を十分に取り、体調を整えること。世界選手権から戻ったら、僕たち全員とも11月に開幕するNBAシーズンに備えなければならない。そういったことも含め、体調管理には賢く気を使わなければならない。

──ファイナルのときも、食生活に気を遣っているようなことを言っていたけれど、やはりそれがグレートなアスリートには重要なこと?

 うーん、そうなんだよね、そうなんだけど…。実は、僕はジャンクフード大好きガイなんだ(苦笑)。これからもそれは、変わらないだろうけど…。でも、このトリップを乗り切るためには、健康管理に留意しなくちゃ。帰ってきたら、マイアミでの長いシーズンが待っているし。

──中国や日本にマクドナルドがあれば、乗り切れますか?(笑い)

 Oh、yeah!! 真っ先に探すだろうね(笑い)。マックがあれば、僕はOKでいられるよ。みんな、どこにあるか見つけたら教えてね(笑い)。

日本で歓迎されるの楽しみ

──多くの日本のバスケットボールファンが、チームUSAが日本に来るのを楽しみにしてるよ

 それはうれしいね!(笑い)。自分たちがそんなに歓迎されているなんて、とてもエキサイティングだ。僕たちも、とても楽しみだよ。だれだって、歓迎されているところに行くのは楽しみなものだよね。歓迎されてないところには、行きたくないもの。

──ラスベガスでのキャンプ中、練習後は何を楽しんだ?

 ゆっくりしていただけさ。僕のファミリー、妻も息子もそこにいたしね。体を休めることに集中したんだ。長いシーズンを終えてきたばかりだし、おそらく今度の大会でも、ほとんどのゲームでプレーするだろうし。

──カジノも、ボーリングも、何もしない?

 そーだなー、少しは…でもまあ、とにかく僕の限度額は1000ドル(約11万5000円)だから(笑い)。勝っても負けても1000ドルまで。それが僕の決めた額。それくらいなら、気持ちも楽だよ。

ラスベガスで行われたプエルトリコとの試合形式の練習で、相手選手をディフェンスするウェイド(右)(AP)
ラスベガスで行われたプエルトリコとの試合形式の練習で、相手選手をディフェンスするウェイド(右)(AP)

──年俸十数億円ももらっているあなたが、たった1000ドル!? カジノでは、何で遊ぶの?

 ブラックジャック。1000ドルなんて、すぐになくなっちゃうけどね(笑い)。

──限度額を決めたのはだれ? 奥さん?

 No~、僕自身だよ!(笑い)。僕はビッグ・ギャンブラーじゃないしね。ただ、ちょっとテーブルについて、少しチップを張ったら、それでおしまい。だって、もし負けたら、僕はすっごく不機嫌になる。それを自分で分かってるんだもん。1日中不機嫌になって、最悪の日を送るのだけは避けたいから。

──どんな場所でも「コンペティター(競争者)」、負けず嫌いなんだね

 全くだ。負けるのは嫌いだよ。例えば、僕はビデオゲームはほとんどやらないんだけど、それはあんまり得意じゃないから。負けるのが嫌だから、やらないんだ。僕をどんな風に負かしたか、敵が語るのを聞きたくはないからね(笑い)。

──あなたは大学時代、ファイナル4にも進んだし、ヒートでNBAファイナルも勝ったしと、既に多くのサクセスを手にしている。前回のアテネ五輪が唯一の不成功体験となる?

 うん、そう思う。大きな大会としては、あの大会だけが、僕のバスケ人生の中で唯一、いい結果にならなかった。でも、あの体験によって、僕はもっと強くなることができたと思うし、自分が手にしてきた成功が、いかに素晴らしいものだったかをあらためて知ることができた。だから、苦い体験でも今では受け入れてるし、自分自身が成長できたのは良かったと思っている。

 でも今回は、自分の経歴に(世界大会での)勝利を加えたい。もちろん、金メダルを。この間、ゲーリー・ペイトンら元チームUSAのメンバーが、いかに自分が獲得した金メダルを誇りに、うれしく思っているかを話していた。僕は、何も言えなかった。僕は、自分のを持ってないんだもの。僕はうなだれて、彼らの話を聞くだけだった。

──ペイトン(GP)は、アトランタ、シドニー五輪と2つも持ってるもんね

 そうそう!! GPは、それも僕に自慢してたよ(笑い)。そして「お前自身の金メダルを、ぜひ勝ち取ってこい!」って言ってくれたんだ。僕も、自分の金メダルをゲットすることを、楽しみにしてるんだ!



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