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2007年高校ラグビー特集


第87回全国高校ラグビー大会

天国に届け東福岡V/高校ラグビー

初優勝を決めた東福岡の谷崎監督(中央)
初優勝を決めた東福岡の谷崎監督(中央)

<高校ラグビー:東福岡12-7伏見工>◇決勝◇7日◇花園ラグビー場

 東福岡が念願の初優勝を果たした。4度目の決勝で、12―7で伏見工を振り切った。前半8分WTB正海智大(3年)のトライで先制。後半は1トライ差まで迫られ、ゴールライン際で伏見工の猛攻にさらされたが、昨年12月に事故で他界したフランカー広木淳さん(享年18)への思いを胸に、守りきった。福岡県代表の優勝は福岡電波以来40大会ぶりで、近畿勢の優勝は9大会連続で止まった。

 見えない力に背中を押され、東福岡の緑のジャージーがゴールを守った。後半15分すぎから伏見工の猛攻に遭うと、魂のこもったタックルで受け止めた。インゴールにボールを持ち込まれても、グラウンディングさせない。部員85人の心が1つになった。決勝で過去3度はね返された最後の扉をこじ開けた。

 「16人で守っていたんだと思います」と言って、谷崎監督も泣いた。昨年12月14日、フランカーとしてレギュラーだった広木さんが踏切事故で命を落とした。いつも一緒に戦っていると、そう思っているから、準決勝まで喪章もなしだった。主将の山下昂は「広木のためじゃなくて、自分たちのために戦おう」と仲間を鼓舞してきた。でも、この日の決勝で、初めてベンチに広木さんの遺影を持ち込んだ。勝利をもぎ取った後、涙ながらにその遺影を抱きしめた。

 一番の親友は山下昂だった。小学生のころから同じチームで育った。亡くなった日も同じ電車に乗って帰宅していた。その後はショックから「広木がおらん。ランパスの先にいつもいた広木が目の前におらん」と、母優子さんにそう漏らしたこともあった。谷崎監督は「通夜と葬儀に出た選手を見て『こいつらはどうなるのか』と思いました」と振り返る。

 魂は仲間に引き継がれていた。広木さんは170センチ、60キロとFWで最も小柄ながら、チームNO・1のタックラーだった。大会が近づくと、自然とタックル練習をする選手が増えた。「広木の穴を全員で埋めようと練習しました」(プロップ上滝)。それがこの大舞台で実を結んだ。雨上がりの雲の切れ間に向かって、日本一のフィフティーンは歓喜の声を上げた。広木さんに届くように。【前田泰子】

[2008年1月8日9時27分 紙面から]

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