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2007年高校ラグビー特集


第87回全国高校ラグビー大会

伏見工、1トライ差力尽く/高校ラグビー

ノーサイドの瞬間グラウンドに倒れこむ伏見工の選手と大喜びする東福岡選手(撮影・築山幸雄)
ノーサイドの瞬間グラウンドに倒れこむ伏見工の選手と大喜びする東福岡選手(撮影・築山幸雄)

<高校ラグビー:東福岡12-7伏見工>◇決勝◇7日◇花園ラグビー場

 伏見工(京都)が東福岡(福岡)に1トライ及ばず、7-12で惜敗を喫した。12点を追う後半5分、高校日本代表FB井口剛志主将(3年)が追撃のトライ。同15分過ぎから伝統の展開ラグビーで何度もゴール前に迫ったが、力尽きた。5度目の優勝を逃し、近畿勢の連続優勝も「9」で止まった。

 激闘に終わりを告げる笛が鳴る。後半15分過ぎからロスタイム5分過ぎまで、攻め続けた伏見工フィフティーンが、雨で濡れた花園に崩れ落ちた。「スキがなかった」。今大会チーム最多6トライをあげていたWTB羽柴がうめく。FB井口剛主将も涙が止まらず「崩しきれなかった」とうつむいた。

 最後まであきらめなかった。12点を追う後半5分、井口剛が巧みなフェイントで3人をかわして追撃のトライを挙げた。あと1トライ-。学校から5キロ離れた桃山御陵への走り込みで培った体力、片手だけでパスし合ってハンドリングを磨いた自慢の展開力で何度もゴールに迫った。24分にはゴールラインを越えたが、グラウンディングを阻まれた。しかし…。「うちはいっぱいいっぱい。東(福岡)さんが強かった」。万策尽きて、高崎監督も脱帽するしかなかった。

 天国と地獄の両方を知る世代だった。「お前ら、どっちになりたいんや!」。高崎監督の怒声が響いた。06年1月に花園で頂点に立ちながら、同年11月、京都府大会決勝で敗れ連覇の道が断たれた。「去年の3年生は残りの高校生活が本当に寂しそうだった」と井口剛。だからこそ「日本一」と誓い合った。

 「伏工魂」を受け継いだ選手も多かった。プロップ辻井の兄2人はともに全国制覇を経験。井口剛の中学時代の恩師で4年前にがんで亡くなった吉本康伸さん(享年40)も伏見工OBだった。「このチームには見えない力がある」と高崎監督は言う。腰を痛めた辻井は痛み止めの注射を打っていた。プロップ笠原も右足首をねんざしていた。満身そういでも、FWの平均身長で3・4センチ、体重は4キロ以上大きな相手に、突き刺すような低空タックルを繰り返した。

 深紅のジャージーに誇りを持って、戦った。井口剛は言う。「最高の仲間たちとラグビーができたことは、自分の人生の中ですごく大きな時間になった」。完全燃焼した。5度目の全国制覇は後輩に託し、堂々と胸を張って帰ればいい。【木村有三】

[2008年1月8日12時4分 紙面から]

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