【コンプトン(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=四竈衛】ヤクルト、ホワイトソックスなど日米韓3カ国で通算321セーブの記録を持つ高津臣吾投手(40)が、メジャー再挑戦を目指して、トライアウトを兼ねた公開練習を行った。地元の大学生相手の実戦練習では巧みな投球術を披露。視察したジャイアンツのジョン・コックス極東スカウト部長は「とても印象的だった」と獲得を検討する考えを明かした。

 実戦形式の公開練習を終えた高津は、スッキリした表情であふれ出る汗をぬぐった。大学生相手とはいえ、今年6月のドラフト候補を含む延べ9人の打者に、1本も安打性の当たりを許さない上々の内容。「いい感じで投げられた。満足できる投球だったと思います」と充実した様子で振り返った。ジャイアンツ、ダイヤモンドバックスのスカウトが見守る中、今持ち得る力は出し切った。

 40歳を超え、名球会のメンバーになっても、現役への意欲は変わっていなかった。昨季終了後、昨年プレーした韓国ヒーローズ(入団時はウリ)から、1度はオファーを受けた。だが、外国人枠の関係で交渉は中止。05年以来4年ぶりとなるメジャーに再挑戦する意思を固めた。1月にも同地でトライアウトを行ったが、調整不足で獲得球団はなかった。今回は4月中旬に渡米し、万全を期して単独でトレーニングを続けてきた。

 高津

 メジャーでも韓国でも新たな発見があって、純粋におもしろかった。まだ野球をやりたいし、できるんじゃないか。そう思うと、逆に離れられなくなったんです。

 そんな高津の熱意とこの日の質の高い投球は、ジ軍コックス極東スカウト部長から高く評価された。キャンプ前ではなく、投球の際には各打者ごとに細かく状況が設定された。ゴロを打たせる、右打ち防止、犠飛防止など、極めて実戦に近い形でチェックを受けた。

 コックス部長

 制球、球の変化がとても良かった。彼は若手ではなくメジャーリーガー。とても印象的だったし、テストはパスしたね。

 最速86マイル(約138キロ)だったが、全盛期のヤクルト時代から高津を知る同部長は、今後投げ続けることで球威は回復すると判断。好印象のリポートを球団首脳に報告する姿勢を明かした。

 その一方で、既にメジャーの選手枠が決まっているシーズン中でもあり、契約までの道のりは決して簡単ではない。仮に合格してもマイナー契約からメジャー契約を目指すことになる。だが高津は「確かに優柔不断かもしれない。ただ、辞めるのは簡単でも、続けるのは難しい。体が動く限り、できる可能性がある限り、45、46歳になってもやっていたいです」と話し、姿勢にブレはない。明るく、ノリのいいキャラクターで知られていても、野球に対する真摯(しんし)な姿勢は別格。40歳右腕は、帰国後も、独自に練習を続けながら吉報を待つ。