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イチロー薬物汚染「かなりショック」

オリックスの室内練習場に現れたイチローはトレーニングを終え帰路に就く(撮影・加藤哉)
オリックスの室内練習場に現れたイチローはトレーニングを終え帰路に就く(撮影・加藤哉)

 イチローが吠(ほ)えた。マリナーズ・イチロー外野手(34)が15日、薬物使用に関する調査書「ミッチェル・リポート」(元米上院議員ジョージ・ミッチェル氏による調査)により浮上した大物メジャー選手らの薬物疑惑に口を開いた。この日から神戸市西区のオリックス合宿所で来季へ本格始動し、薬物汚染の話題に落胆を隠せなかったが、今後の野球界やファンのための徹底究明と撲滅の必要性を力説した。今こそウミを出す時と、野球を愛する男の訴えは熱かった。

 世界に激震が走った薬物疑惑問題に、イチローもショックを隠せなかった。「(報道で)見ました。クリス・ドネルスの名前もあった。やってたのかなあ、アイツ…」。薬物使用に関する調査書「ミッチェル・リポート」には、97年からオリックスで3年間一緒にプレーしたC・D(41=元ダイヤモンドバックス)の名前もあった。この日から来季へ向けて本格始動した古巣の合宿所で、世界のヒットマンが声を落とした。

 信じたくはない。だが調査書には、領収書などの証拠書類も添付されている。マグワイア(元アスレチックス)ボンズ(ジャイアンツFA)クレメンス(ヤンキース)ら、自身がメジャー挑戦するきっかけを与えてくれたスーパースターたちにかけられた重い疑惑の数々。「(ウワサ)話はいろいろ聞きますが、実際(薬物を使用していたか)は僕たちに分からない。でも、かなりショックですね。野球界にとってもファンにとっても誰にとっても…」。受け入れがたい現実に、何度も首をひねった。

 裏切られた思いは強い。だが、大事なのは過去よりも、むしろこれから。怒りを必死に抑えるように、言葉を選びながら淡々と続けた。「(報告書で)名前を出すやり方がいいのか分からないけど、野球界もそういう時期に来たということ。ウミを出さないといけない。どんなことも前に進める糧にしないといけない」。長年はびこって来た薬物疑惑は今こそ徹底究明して根絶し、野球界をクリーンにすべきであり、中途半端で放置すれば再び同じ悲劇が繰り返されると警鐘を鳴らした。

 今回問題となっている筋肉増強剤などではないが、ドラッグなどの薬物禁止に関しては以前から訴えてきた。02年にはシアトル近郊の小学校で講演。幼少時代から野球に打ち込んだ自分の経験から「早く何をやりたいかを見つけてほしい。そうなれば薬を勧められてもノーと言えますから」と話した。CMに出演しているスタミナドリンクも同様だ。ドーピング違反に引っかかりそうなイメージがあるが、調査機関から問題なしの確認が出ている。

 球界による厳しいルールづくりはもちろん大切だが、それ以上に大切なことがあると最後に提言した。「それぞれがプロとしてやってる。ルールも必要だけど、あとはモラルの問題なのは当然のこと」。ファンを裏切って失った信頼を取り戻すには、選手1人1人が自覚と行動で示すしかない。このままでは“夢を売る男”の資格もなければ、野球界の失地回復もない。イチローは静かに、全メジャーリーガーに呼びかけるように訴えた。【松井清員】

[2007年12月16日9時31分 紙面から]

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