楽天ドラフト1位のオコエ瑠偉外野手(18=関東第一)が2日、ヤクルト山田の新人時代を指導した池山隆寛打撃コーチ(50)から約2時間の技術指導を受けた。内角球に対応する肘の使い方や、タイミングの取り方などを直々に伝授された。キャンプ初日の打撃練習は詰まった当たりが目立ったが、指導直後は快打が増加。巨人の長嶋終身名誉監督と松井秀喜氏の「1000日計画」ならぬ「山田化計画」でトリプルスリーへの道を上る。

 約3センチの「真芯」が発する打球音が、オコエの両耳を心地よく鳴らした。2日連続の打撃練習は、40スイングでヒット性11本。左脇を閉めてタイミングを計り、木製バットを体に巻き付けるように振った。前日1日とは凡打の内容が変わった。右方向への詰まった当たりが減り、バックネット上段を襲うファウルが増加した。「教わったことが、多少はできたかと思います」と自己分析。池山コーチは「昨日より打球が全然いい。のみ込みが早い」と拍手した。

 本格的な育成計画が始まった。初の早出特打。同コーチからまず伝授されたのは、正しいバットの芯の位置だった。真芯の約3センチは、周囲と音が異なる。耳の近くで音を鳴らしてもらい、その違いを知った。「今までは、目で見て何となく芯の場所を分かったつもりでした。勉強になりました」。大きな驚きから全てが始まった。

 タイミングの取り方、体の内側から芯を出すスイングと指導は続いた。打撃練習の直前には約55分間、熱く丁寧に、改善点を伝えられた。始動の際には投手の踏み出し足に注目し、相手の接地に合わせて左足で踏み込むこと。バットの芯は体の内側から。昨日まで伸びていた左肘をたたみ、インパクトの瞬間に右手を返すこと。マンツーマンのティー打撃は197球を数えた。

 「たくさん教わったので選ぶのが難しいけど、初歩的なところをしっかりやらないといけない」と決意を新たにした。ヤクルト山田の入団1年目に打撃コーチだった池山コーチは、オコエの向学心に大きな夢を見る。「金属バットから木製に変わる時は壁があるもの。(山田)哲人も最初はそうだった。オコエにも、夢のところまで行けるスイング力をつけてあげたい」

 オコエはこの指導をきっかけに、野球ノートをつけることを決めた。自身が目標とするトリプルスリーの野望を胸に、強固な土台を築く。【松本岳志】