DeNA今永昇太投手(22)が球団の新人記録を樹立した。オリックス戦に先発し、6回を投げ被安打3、無失点で5勝目をマーク。プロ初勝利を挙げた5月6日広島戦から5連勝だ。球団の新人では82年の金沢次男以来の5連勝となり、左腕では初の快挙となった。勝ち負けが付かなかった前回登板の4日ロッテ戦では3回5失点で降板。汚名返上のマウンドで結果を示した。

 緊張でこわばるはずのマウンドで思い切り腕が振れた。今永は普段よりも変化球を多投し、爆発力を秘めるオリックス打線を寸断し続けた。「(試合前は)今日が一番、緊張した。今までで一番不安でしたが、初回に5点も取ってもらったので重圧が少ない中で投げさせてもらった」。1回に味方打線から大量5点の援護をもらったことを真っ先に感謝した。

 プロ1年目で開幕ローテを勝ち取り、11戦目の登板だった。アマ時代には経験がない長いペナントレース。蓄積疲労、体調管理が難しい時期に突入してきた。空振りが減り、奪った三振は3。「無駄な欲は消した」と開幕当初のような直球は鳴りを潜めたが、すきは与えない。同時に「パ・リーグの打線はポイントが前。より抜くか、より押すかのどっちか」と100キロ前後のカーブを増やし、変化球を効果的に織り交ぜた。

 何よりも自分自身の投球フォームを強く意識した。3回5失点に沈んだ4日ロッテ戦後に木塚投手コーチからのアドバイスでシャドーピッチングを取り入れた。「キャンプ中は毎日やっていた。ボールを使わずに調整することも大事。その感覚を忘れていた」と原点を思い起こした。この日の試合後も次回登板に向けて敢行。「横振りじゃなくて、腕を縦振って、指にかかって抜けてくれた」と変化球のキレが戻った。

 石田に並ぶチーム最多タイの5勝目で自身の連勝も5に伸ばした。今永は白星先行、チームも勝率5割復帰を果たした。3連敗からの連勝。新人左腕が再びチームに息を吹き込んだ。【為田聡史】

 ▼今永が5月6日広島戦から5連勝。新人の5連勝は15年高橋光(西武)高木勇(巨人)以来だが、DeNAでは82年金沢次男に次いで、34年ぶり2人目の球団タイ記録。金沢はすべての白星を救援でマークしており、先発では今永が初めて。今永は開幕4連敗中、援護点(登板中の味方の得点)が9回平均で0・50点しかなかったが、5連勝中は同4・97点と約10倍増。今季勝利打点が5度の筒香が、今永の登板日に4V打と強力に援護している。