セ・リーグ史上初となる遊撃手の首位打者が誕生した。巨人坂本勇人内野手(27)が1日、阪神との今季最終戦を欠場し、打率3割4分4厘でレギュラーシーズンを終了。広島鈴木を振り切り、首位打者を獲得した。12年に最多安打のタイトルを手にしたが打撃主要3部門では初戴冠。4割3分3厘で最高出塁率もマークし「うれしいです」と喜んだ。

 打撃スタイル変更が奏功した。春季キャンプで、松井秀喜臨時コーチから、右足に体重をためて打ちにいく打法を教わった。これまでは左足を大きく上げていたが、足の上げ幅を小さくし、低重心の構えに変えた。「体重が乗ってるから右足の外側が張るんです」。右足の変化を実感するほど軸回転で振り抜く打撃フォームを習得すると、体勢が崩される場面が減った。

 侍ジャパンで得た経験も大きかった。昨年11月のプレミア12でトリプルスリーのヤクルト山田から「1カ月30安打を6カ月、積み上げれば3割になる」との考え方を聞いた。上下する打率ではなく加算する安打数を目標に設定し、力みが消えた。「強くバットを振る。1日1日、継続する」とシンプルな思考を貫き、4月から9月まで月間平均26・8本の安打を量産した。

 開幕前には高橋監督からキーマンに指名されつつ「27歳で成績が下がってきているのは良くない」と心配もされたが結果を残した。「多少成長した部分もあるし自信にはなる。でも1年だけいい数字を残してもダメ」と引き締めた。

 終盤は欠場が続き、CSまで実戦が1週間以上、空くが「調整が難しくなるので練習で実戦をイメージしてやる」。2位からの下克上へ打棒がカギを握る。「日本一という大きな目標に向かって頑張りたい」と宣言するタイトルホルダーがけん引する。【浜本卓也】