巨人高橋由伸監督(41)がクライマックスシリーズ(CS)を目前にルイス・クルーズ内野手(32)の出場選手登録抹消を3日、決断した。8日からのファーストステージDeNA戦(東京ドーム)に向けて同球場で調整を開始したが、正二塁手の助っ人は1軍を離脱。指揮官は「チーム事情」と説明するにとどめたが、ペナント終盤に全力プレーのチーム方針に欠ける姿勢を見せたための処置とみられる。戦力ダウンは必至だが、チームの統率を重視して断を下した。

 練習1時間前、クルーズが東京ドームのロッカー室から出てきた。バットケースやキャリーバッグなど道具一式を、速足で運び出した。追いすがる報道陣には、通訳から「何も言えません」。助っ人は厳しい表情のまま、駐車場に続くエレベーターに乗り込んだ。

 練習中に出場選手登録抹消が公示された。ロッテから2年契約で移籍した今季は故障による抹消期間もあったが、正二塁手で華麗な守備と勝負強い打撃も見せてきた。だがCSファーストステージの欠場は確定した。高橋監督は「なんと言えばいいのか…。チーム事情としか言いようがない」と話すにとどめた。

 チームの統率を保つため、毅然(きぜん)と下した決断だったとみられる。関係者の話を総合すれば、クルーズはペナント最終カードの阪神戦で、一塁への走塁時に全力プレーを求めるチーム方針に反する姿勢と態度を見せたという。2位で終え、破竹の勢いの3位DeNA、勝ち進めばリーグ覇者の広島と雌雄を決する上で、チームの一体感を壊しかねないプレーは許されなかった。

 普段は陽気なメキシカンで同僚からも好感を持たれているが、精神的にはムラがある一面もある。驚異的な守備を見せる時もあるが、一塁送球へ余裕のある時も無理な体勢からのバックトスでミスし、個人プレーに走りがちなこともあった。

 高橋監督とクルーズはこの日、球場で話し合いを持った。CSファイナルステージ進出なら13日の第2戦から復帰できる。高橋監督は再登録の可能性に「分からない」と否定はしなかった。反省が見られれば再合流する道もある。

 いずれにしても打率2割5分2厘、11本塁打、37打点の7番二塁手を欠き、ポストシーズンの開幕を迎える。中井、寺内、山本が代役候補。指揮官は「いるメンバーで戦うのは特に変わったことではない。いるメンバーはチャンスでは」と競争原理を求めた。引き締めを図り、下克上を起こす。【広重竜太郎】