地味にスゴイ! ヤクルト秋吉亮投手(27)が、1億円プレーヤーの仲間入りだ。12日に都内の球団事務所で契約更改に臨み、4700万円増の1億1000万円(推定)でサインした。今季は中継ぎ、抑えとフル回転して70試合に登板。4年目シーズンでの大台突破は93年古田敦也、07年青木宣親に並ぶ球団最速タイで、投手では球団史上最速となった。来年3月のWBC日本代表入りも確実なタフネス右腕が、世界へ羽ばたく。

 地道な仕事を評価された秋吉が、喜びをかみしめた。新人から3年連続で60試合以上マウンドに立ち、鉄腕稲尾(西鉄)以来、史上2人目となる入団から3年での200試合登板も達成した。「一流といわれる1億円プレーヤーを目指してやってきて、こんなに早くなれるとは思わなかった」と口元を緩めた。

 ミスが許されない“職場”で、淡々と役割を果たした。開幕時は中継ぎで、3月29日から5月8日まで16試合無失点を続けた。6月下旬からは、7月に退団したオンドルセクに代わって守護神を任された。「やりがいのあるポジション」と19セーブ。真中監督は来季の抑えを白紙に戻す方針を明かしたが、秋吉は「やりたい気持ちはある。今年以上のセーブ数を挙げる」と強い意欲を見せた。

 「侍バージョン」で進化する。例年は年明けまでノースロー調整だが、来年は3月にWBCが控えている。「今月末からキャッチボールを始めて、2月のキャンプインには肩ができた状態にする。使うのはWBC球だけです」と言った。11月の強化試合では、得意のスライダーで右の強打者を手玉に取った。「(ヤクルトで同僚の)バレンティン相手だと思って投げたら、クルクル回ってくれた。どの球を振ってくれるか、わかっている」。世界一に貢献する自信をのぞかせた。

 飛躍の16年を表す漢字は「充実の『充』です」と言った。自分へのごほうびは、左手に輝く腕時計。「3ケタ(万円)くらいのロレックスを買いました」と笑った。リリーフの仕事に誇りを持つ秋吉が、ピンチを救い続ける。【鹿野雄太】

 ◆都立高出身選手 秋吉は都立の足立新田から中央学院大-パナソニックを経て13年ドラフト3位でヤクルト入団。都立高出身の主な選手には62年日本シリーズMVPの土橋(日本橋-東映)らがいるが、当時は貨幣価値が違う。87年に落合(中日)東尾(西武)がプロ野球初の1億円プレーヤーになって以降、都立高出身で1億円到達は秋吉が初めて。