阪神真弓明信監督(57)が7日、不振の新井貴浩内野手(34)に対して“4番の重圧に勝て”と厳命した。借金11で最下位に沈むチームの浮上は、4番の復調なしにあり得ない。甲子園練習で直々に身振り手振りの熱血指導を施した。新井も気持ち新たに、前回連敗したロッテ2連戦(QVC)の必勝を誓った。

 新井がティー打撃を始めると、真弓監督がおもむろに近寄った。厳しい視線を注ぐと、ノックバットを持って今の新井のフォームを真似て見せた。バットが体から離れて遠回りしているぞ。いい時はこうだろう?

 続けてバットを最短距離で出す模範演技を見せた。不振脱出にもがく4番に、何としても立ち直ってほしい。そしていつになく厳しい言葉で奮起を促した。

 「(4番の重圧に)勝たなあかんやろ!」。

 6日のオリックス戦で3度の得点圏で凡退するなど、3試合連続無安打でここ5試合は19打席2安打。ホームランも10試合出ていない。新井が無安打なら3勝14敗で、チームの借金数11とイコール。4番が打つか打たないかが、そのまま低迷に直結している。開幕時は絶好調だったが、監督は「チームの状態に引きずられて悪くなっている」と分析。だがこれでは真の4番は務まらない。打撃指導などの手助けはするが、最後は自分で断ち切るしかない。初めて開幕から任せた虎の主砲の座。今こそ男の意地を見せて欲しいとのメッセージを一言に込めた。

 「分かっています」。新井にも監督の思いは以心伝心で伝わっていた。「自分の役割は大事だし、(重圧は)分かっていること。(力みは)もちろんある。でも自分で調整していくしかない」。自分が打たなければと思うほど力んでハマるあり地獄。だがここで、今こそ強くならないと、チームはこのまま終わってしまう。練習ではこれまでになく外野のポール間を何度もダッシュし、キレを取り戻そうとする姿があった。

 今日8日からのロッテ2連戦には、前回甲子園で連敗した時と同じ吉見&成瀬の左腕コンビだ。新井も2人に対し、8打席で1安打しかできなかった。「知ってるよ。早く自分のスイングができるようにね。みなさんもそろそろ、良い記事書きたいでしょ?

 頑張ります!」。同じ相手に、またやられるわけにはいかない。今度こそ、4番の意地を見せる。【松井清員】