<西武11-5阪神>◇12日◇西武ドーム

 初めての光景だった。阪神榎田大樹投手(24)が、西武打線につかまり1イニングで4失点。20試合目の登板で、初の2点以上の失点で2敗目を喫した。疲労の蓄積の影響か。だが、ルーキーは言いわけしなかった。

 「体調はよかった。(制球も)いつも通りだったけど、振ってくれなかった」。

 1点リードの5回に登場した。直球は最速145キロを計測。調子が良い分、体を制御しきれなかった。ただ、最大の武器となっているカットボールを見切られ、追い込まれていった。先頭中島の四球、1死二、三塁から浅村への四球は、いずれもフルカウントからのカットボール。攻めた結果だが、1死満塁となり代打平尾に144キロ直球を中前に運ばれ2点を失った。3四死球が大量失点に結びついた。

 フィールディングでもミスを犯した。1死一、三塁から盗塁を警戒せず、銀仁朗の初球に走られた。銀仁朗のスクイズをグラブトスで本塁返球しようとしたが、ボールはグラブの下をすり抜け犠打野選に。「思ったよりも、弾まなかった。切り替えていかないといけないです」とうなだれた。

 異例の早期投入にも理由はあった。山口投手コーチは「(0に抑えても)1イニングだけのつもりだった。チームに勢いがあるところで、相手を止めてほしかった」と話した。その期待に応えられなかった。

 5月28日楽天戦(Kスタ宮城)で初黒星を喫し、目を真っ赤にさせた。だが、この日は淡々と質問に答え、西武ドームの長い階段を上った。依然として防御率は1点台。現実を受け止め、次の出番に備える。【鎌田真一郎】