日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が「自然体」をテーマに、シーズン節目の大一番へ臨む。今日24日からリーグ戦が再開。3ゲーム差で追う首位ソフトバンクとの敵地3連戦の初戦で先発する。交流戦5試合を4勝1敗、驚異の防御率0・21と勢い十分でフィニッシュ。「交流戦と変わらず普通に投げます」と平常心を貫き、タカ狩りの先陣を切る。

 騒乱の首位攻防を控えても、泰然自若だった。ダルビッシュは心穏やかに、所信表明した。「交流戦と変わらず普通に投げます」。ソフトバンクは23日、3番打者の内川の緊急離脱が判明。日本ハムは田中を欠き、ともに野手の主力が戦列を離れた波乱の3連戦。得点力低下でロースコアになる可能性が高い。勝敗の行方を大きく左右しそうでも、気負いはなかった。

 秘めた自負は、マウンドで証明する。15日阪神戦こそ8回2失点で敗れはしたが、開幕から段階を踏んでギアを上げてきた。交流戦は5試合、43回を投げて、その2失点だけで自責点はわずかに1。「スタミナ」と「パワー」と「テクニック」の3要素がシンクロし、完全無欠の状態だ。梨田監督が「ベンチで居眠りをするくらい任せたい」と全幅の信頼を置く、安定感を誇示している。

 地の利もある。福岡ヤフードームはプロ入りしてから11試合登板で9勝2敗。試合数に差はあるが、勝率は札幌ドームの7割4分1厘(71試合43勝15敗)を上回る勝率8割1分8厘と好相性を誇る。内川がいない情報を「知っている」と事前に情報をキャッチしていたが、それ以上の追い風を受ける環境は整った。吉井投手コーチは「120~130球くらいでいってくれれば」と完投劇も描くほど、すべてに万全だ。

 ソフトバンクとは今季は4月26日の1試合だけ対戦して8回2失点とほぼ完璧に封じたが、その時点ではオフからの肉体改造の成果を出すため手探りで「フォームが全体にダメ」という状態だったと明かした。完成度が高まってきた現状では、さらに超える快投が期待できそうだ。2年ぶりのリーグV奪回へ、シーズン序盤の大一番。ダルビッシュが、剛腕でペナントを引き寄せる。【高山通史】