頼れる左腕が戦線に復帰する。不調のため2軍調整中だった広島篠田純平投手(26)が6月30日、マツダスタジアムで行われた1軍投手陣の練習に合流した。今日1日からのヤクルト3連戦で復帰登板する見込み。リードオフマン梵英心内野手(30)が左膝骨挫傷で登録を抹消され、前半戦復帰が絶望となった窮地。復活左腕がチームに勢いをつける。

 声がかかるのを待っていた。篠田は、約1カ月半ぶりとなる1軍投手陣の練習に合流すると、マツダスタジアムの芝生の上を何度もダッシュした。キャッチボールでは力強い球を投じた。

 篠田

 上がりたいと思っていましたが、1軍に呼ばれるにはいい状態でなければダメですから。

 悔しさが、復帰への後押しになった。開幕から好調を維持し、2年ぶりの完封勝利を挙げるなど左のエース格としてローテーションの中核を期待された。5月に入ると調子が急降下。同12日の阪神戦で3回途中9失点KO、18日のソフトバンク戦でも3回7失点。2試合連続での大量失点で積み上げてきた信頼まで失った。19日に2軍落ちした。

 篠田

 忘れないし、悔しい気持ちもある。あとで「あれがあったから」と言えるようにしたい。

 2軍では投げ急ぎの傾向を修正するよう努めた。右足をあげたとき、左足をしっかりためる感覚を意識した。

 篠田

 それまでは左足に体重が乗ったか乗らないうちに投げていた。前に突っ込んだりしないようにひとつひとつ意識しながらゆとりをもって投げることをテーマにしました。

 2軍戦で結果も出した。ウエスタン・リーグでは4試合に登板。降格当初の試合では打ち込まれたこともあったが、直近3試合では安定した投球内容で、復調の手応えは確かなものになりつつある。

 練習を指導した大野投手チーフコーチも「落ち着いて投げていた。修正してきたので、今度の登板が楽しみ」と話した。

 今日1日からの首位ヤクルト戦が復帰の舞台となる見込み。今後、9連戦などが予定されており、先発陣が苦しくなるところでの篠田の復帰は朗報だ。貴重な左腕としても期待は大きい。悔しさをバネに、快投で揺るぎない信頼を勝ち取る。【高垣誠】