<ヤクルト3-0阪神>◇10日◇秋田

 あらマーとん…。虎打線がストレスのたまる今季9度目の完封負けだ。毎回走者を出しながら今季ワースト13残塁では勝てません。特に新4番マット・マートン外野手(29)は、ヤクルトとの秋田シリーズ2試合で5三振。安打製造機に“不具合”が発生した。暫定1番平野恵一内野手(32)も、この日は5打数ノーヒット。明日12日からは9連戦に臨むだけに、6番新井の余波が悩ましい…。

 マートンが、右肩を捕手相川にぶつけた。0-1の8回、大振りしてあえなく三振。一瞬遅れて、真下にこぼれたボールに気づくと、拾おうとした相川に体を露骨に押しつけた。スマートな安打製造機のなりふり構わない姿にいらだちがにじんだ。

 3試合連続の4番で、5打数無安打3三振。1試合3三振以上は昨年8月27日ヤクルト戦で館山に喫して以来、来日2度目の“珍事”だった。前日9日には7回に外角球の判定を巡って球審に激高した。その打席から7打数で5三振と異常事態といえる三振のペースだ。帰りの通路では激高した判定の影響を問われて、言った。

 マートン

 それはない。(判定は)日によっても違う。それよりも増渕がイメージしていたよりもいいボールが来ていた。いいピッチングをしていた。

 本人は否定したが、前夜の激高は胸に抱えていたストレスが原因の可能性がある。今季はマートンに限らずストライクゾーンに戸惑う選手が多い。紳士的なM砲もたびたび首をかしげ、打席にバットを置き去りにしたこともあった。

 真弓監督は、マートンがストライクゾーンに神経質になっている可能性について「ちょっとそういうところがあるのかな」と口にした。また和田打撃コーチも「しっかり見極めるタイプだから、ストライクゾーンのギャップがあるかもしれない」と表情を曇らせた。

 ペースを乱した要因は「代役4番」の副産物とも考えられる。主砲新井の打撃不振に伴う緊急措置として4番に昇格。“暫定”オーダーで臨んだ3試合で2勝1敗と勝ち越し。ただM砲に加えて「代役1番」を務める平野も、7回の好機で左邪飛に倒れるなど5打数ノーヒットとなり、これで15打数1安打の低空飛行。真弓監督はこう分析した。

 真弓監督

 (打席までの)リズム(の違い)というのは多少あるでしょうね。

 特にマートンはルーティン(決まり事)を大切にするタイプ。「4番だからこうしないといけないということはない」というが、1番と4番で試合の入り方に違いが出るのは事実。本来の形は1番マートン、4番新井しかない。新井の復調が先か、マートンが4番に適応することが先か。仮に共倒れになれば、明日から正念場の9連戦に臨むチームが、打線の核を失う危険もある。

 首位ヤクルトとは1勝1敗に終わった。和田コーチは「(マートンは)乗り越えていかないと。1日空くし、冷静になって、新たな気持ちで」と期待した。今はM砲の危険な兆しが秋田の白昼夢であったことを祈るしかない。【益田一弘】