<横浜4-0阪神>◇15日◇横浜

 4番新井復帰だ、流れを変えろ!

 真弓阪神は横浜でもゼロ行進が止まらず、前半戦の貯金生活突入はがけっぷちとなった。4番マートンの改造打線も勢いがかげった今、いよいよ新井貴浩内野手(34)を4番に戻す機は熟した。5連勝フィニッシュ、導いてくれ!

 借金完済のための最終9連戦で、何やら雲行きが怪しくなってきた。4番マートンを中心とした改造オーダーが、急ブレーキだ。9戦連続のノーアーチは真弓政権下では初めて。2戦連続の完封負けで、今季の横浜スタジアムでは3戦3敗。嫌なデータが続々と出てくる。

 「点が取れんねえ…。打線はこんなものだけど、1試合でも早く上向いてもらわんと」。前半戦を「貯金」で折り返すには、残り5戦全勝しかない。完済ピンチの状況に追い詰められた。

 あの手、この手は尽くした。1点を追う6回に先頭の上本がヒットで出塁。ここでベンチは鳥谷にバントのサインを出した。「先に点を取られたから、何とか追いついておかないと」。指揮官は打線の窮状により、堅実な策を選択。3番打者は開幕2戦目以来の犠打を記録。しかしマートン、ブラゼルが凡打に倒れ、同点機はあっさりと消えた。8回の得点機でも、代打桧山を投入。すでに3点差に広がっていたが、流れを変えるひと振りを期待した。結果は投ゴロ。チーム全体を停滞感が包んだ。

 打線改造という「カンフル剤」は効果を失いつつある。となれば、新井の4番復帰という可能性が浮上してきた。2回に力強く引っ張って左翼線に二塁打を放つなど、マルチ安打。ここ6試合で22打数8安打と最悪の状態は脱した。

 4番起用について真弓監督は「そういうことは、まだあまり考えていないけどな」と前向きではなかった。ただ和田打撃コーチは肯定も否定もしなかった。「1日も早く戻れるように。それが明日か明後日かは今は言えないが…。状態を見ながら」。

 先頭を打つ平野も波に乗れない。1番マートン&4番新井の原点回帰が、首脳陣の間で検討の対象になることは確実だ。

 渦中の新井は顔をしっかりと上げて、帰りのバスに乗り込んだ。「(内容は)まあまあ。また明日。一時期に比べたら、いいんじゃないか」。チームは正念場の時期が続いているが、パワフルな打撃が勢いを与える。今こそ、4番新井にその働きが求められる。現状を考えると、5連勝フィニッシュは難しい。しかし真弓監督は可能性がゼロになるまで、あきらめる考えはない。そのことを問われると「もちろん」と力強く答えた。首位ヤクルトとの差は9・5ゲームに広がった。このまま、ズルズルと行く訳にはいかない。【田口真一郎】