<広島0-5阪神>◇18日◇マツダスタジアム

 阪神新井貴浩内野手(34)が得点ラッシュの“起点”になった。初回2死から鳥谷が四球で出塁。パスを受けた4番はすかさず左前に打ち返して、小さいチャンスの芽を広げた。前線で待つブラゼルへの華麗なスルーパスとなり、5番の点取り屋はきっちり2得点をたたき出した。

 「トリの四球からだからね。相手にもダメージは大きかったんじゃないかな」。試合開始のホイッスル直後、広島福井の守備網を切り裂く先制攻撃を満足げに振り返った。

 3回には1死から右前への飛球を右翼が後逸し、二塁打になった。この、こぼれ球もブラゼルがしっかりと拾った。リーグ戦再開後の不振時にはなかった運も出てきた。

 あるときは中盤でチャンスをお膳立て、あるときはゴール前でおいしい役をかっさらう。前日17日の横浜戦では同点ソロに満塁弾と大爆発。4番に戻ってからの3試合で14打数7安打、6打点と大当たりだ。その3試合で打線は27点。直前の2連続完封負けがウソのように3連勝した。

 「選手も一番居心地がいいというか、流れがいい打順じゃないかな」と和田打撃コーチは話した。1番にマートン、4番に新井貴を置く本来のフォーメーションで阪神は息を吹き返した。

 広島への移動日試合だったため、主砲は体調を優先してサッカー女子W杯の観戦は封印。朝一番で吉報を聞いて感動したというが、阪神の快勝に勝る喜びはない。「ナイスゲームだったね」。地元広島で最高の笑顔を見せた。【柏原誠】