<日本ハム13-5オリックス>◇27日◇帯広

 日本ハム打線が今季最多の18安打&13得点で、球団節目のメモリアル勝利を彩った。オリックス戦の4回に糸井の2ラン、スケールズの満塁本塁打など、打者一巡の猛攻で7得点。今季のパ・リーグ最長4時間13分の戦いに大勝した。セネタースとして誕生した46年から数え、球団通算4000勝に到達。梨田昌孝監督(57)も「みんなで勝てた」と、全員野球での快勝を喜んだ。ソフトバンクと再び同率首位に並んだ。

 チームを記念の1勝に導いた指揮官は、思いっきり後悔した。梨田監督は試合後、いつもと同じように、サインボールをスタンドへ投げ入れ、ファンに手を振った。その直後だ。球団通算4000勝到達の知らせに、目を大きく見開いて驚いた。「えっ、そうなの?

 知らなかった。もうちょっと感動するべきだったな」。貯金は再び今季最多タイの24。おなじみとなった勝利の儀式。とっぷりと日常に“浸って”しまった。

 勝利の意味は知らずにいたとしても、記念日の戦いは派手だった。2点を追う3回に4安打集中で逆転すると、続く4回には、糸井の2ランとスケールズの満塁弾などで一挙7得点。どちらも今季最多の18安打、13得点。最初から最後まで塁上を賑わせた。地方球場の柔らかいマウンドに苦しみ、自軍投手陣も5失点。「(安打が)もう何本かわからない。両方だし、長かった。何本打ったか、いくつ四球を出したか、わからないよ」と苦笑いを浮かべたが、パの今季最長4時間13分ゲームを記念勝利につなげた。

 セネタースとして球団が誕生したのは46年。梨田監督が生まれる7年前のことだ。現役時代は敵として戦った日本ハムの監督に就任して4年目。歴代の名監督を引き継いで、277個の白星を積み上げてきた。勝率は5割5分7厘を誇るが、現役時代の恩師・西本幸雄氏には、今でも継投のことで説教されることもあるという。1つ1つ歴史を重ねていく球団とともに、指揮官も歩んでいる。

 大阪に自宅を構えるが、今月の球宴休みは東京で最終戦を終えると、札幌に移動して静養した。一昨年の年越しの場所に選んだのも北海道。移転後のチームづくりに尽力したヒルマン前監督と同じように、新しい地元となった北海道を愛してきた。そんな指揮官が胸を痛めたのは、3月の東日本大震災。東北はもちろん、北海道にも被害は及んだ。精神的にも肉体的にも疲弊し、外食することもなくなり、サウナやマッサージで時間を過ごしたという。強い意志で、開幕延期を訴えてもいた。

 特別な年。日本一への思いは強い。「一つ勝つのは大変。何とかみんなで勝てた。これからも一喜一憂することなく、やっていきたい」。帯広で遂げた節目の勝利は、球団にとっても、梨田ハムにとっても、通過点でしかない。【本間翼】

 ▼球団通算4000勝=日本ハム

 27日のオリックス12回戦(帯広)に勝って達成。初勝利はセネタース時代の46年4月28日ゴールドスター1回戦(後楽園)、3000勝目は97年4月12日近鉄2回戦(大阪ドーム)で、通算成績は4000勝4371敗320分け。4000勝到達は7球団目。04年の本拠地移転後は566勝470敗19分け。