<広島6-11巨人>◇5日◇マツダスタジアム

 「もよおしてきた」原巨人が、もうひと踏ん張りした。巨人打線が、今季最多19安打&11得点で、広島に逆転勝ちで3連勝。3点を追う3回、高橋由伸外野手(36)が3試合連発となる7号3ランを合図に、7回には小笠原が2戦連発の3号ソロ。1番坂本が4安打4打点、3番長野も3安打2打点のつるべ打ちだ。前日4日、阪神に連勝し「もよおしてきている」と表現した原辰徳監督(53)の「読み」通り。投手はピリッとしなかったが、強力打線に復調気配が漂い始めた。

 力感のないフォームで、高橋由が振り切った。打球は失速しないでバックスクリーンで跳ねた。3点リードされた3回。無死一、三塁。広島篠田の高めスライダー。同点7号3ランだった。「打席の中でしっかりと打てるボールを待つことができましたし、高めのスライダーに対して、上からたたくことができました」と狙い打ち。これまで6カード連続で3連戦の初戦黒星だったが、ついに流れを止める時がきた。

 ガッツも負けちゃいない。同点にすれば、勝ち越されるシーソーゲーム。1点リードした7回だ。広島の3番手青木から右中間へ2試合連続の3号ソロをたたき込んだ。直前、高橋由の安打で代走に出た鈴木が盗塁を失敗。豪快にカバーして「貴重な追加点をとれてよかった。うまくとらえられたと思う。少しずつ、打てるようにつなげられるようにしていきたい」と、謙虚に振り返った。

 万全ではない2人の本塁打が4位浮上に導いた。高橋由は持病の腰痛と闘いながらの出場が続く。8月に入って4試合で3発。4日の阪神戦は欠場したため、出場した試合では3戦連発だ。すべて中堅から左方向への打球で、力まなくても統一球を遠くに飛ばす。「特に変わりはないよ。飛んだり飛ばなかったりするのか分かんない」と、この日も本塁打を打った後、首をかしげるしぐさを見せた。小笠原も先の見えないトンネルをさまよっていた。スタメン落ち、8番降格。葛藤する毎日。それでも東京ドーム初本塁打を打った前日4日の阪神戦で「少し期待してください」と宣言し、いきなり結果で応えた。もがいてもがいて、少しずつ活路が見え始めてきた。

 2人の活躍を皮切りに打線は今季最多19安打で最多11得点。今季11度目の逆転勝利で3度目の3連勝だ。原監督は前日4日、復調の兆しを「チーム全体がもよおし始めた」と表現したが、この日は「『もよおしてきたでしょう・ダッシュ』くらいかな?」と独特の言い回しで報道陣を爆笑させた。数字では大勝でも、先発沢村が2回持たずにKOされるなど、不本意な側面もある。原監督は勝因を問われると「山口が締めたこともあるし、由伸の3ランも非常に良かったし、さまざまな原因がありますね。ということは我々にもマイナスがすごくあったということですね」。スッキリ快感!

 と胸を張るにはもう少しの破壊力が必要か。それでも、由伸、ガッツの2発には、その兆しを感じさせる。【斎藤庸裕】