<日本ハム3-2オリックス>◇19日◇札幌ドーム

 8点差を追いついた前日18日の勢いが、エースの熱投がサヨナラを呼んだ。日本ハム・ダルビッシュ有投手(25)が、自己最多タイの16勝はお預けとなったが、9回8安打2失点、123球。今季初めて勝敗が付かなかったが、9回も150キロ超えを連発する力投だった。チームは延長10回、ラッキーな押し出し四球で今季3度目のサヨナラ勝ち。貯金を今季最多24とした。

 願いは届かなかったが、123球に込めたダルビッシュの思いは報われた。自身今季19試合目で、初めて勝ち負け付かずの一戦も「チームが勝って良かったです」と、満足感に浸れた。

 オリックスへ流れが傾くと、執念がさく裂した。1点リードの8回に自らの暴投も絡み2安打を浴び、振り出しへ戻された。直後の9回。先頭打者の後藤に右前打を浴び、犠打で一打で勝ち越しとなる1死二塁。スイッチが入る。李を3球連続速球、3球目に国内自己最速タイ156キロをマークするなど力で追い込んだ。「キレが悪かった」が、気力が乗った。

 ウイニングショットは外角低めカーブで空振り三振。続く日高も直球2球で追い込み、最後は内角低め130キロの高速カーブ。ひざ下をえぐり空振りを誘って3球三振。体を「くの字」に折って3度、雄たけびを上げた。勝負どころを心得た細心の内容。ダルビッシュも「あそこ(9回)を抑えれば…」と描き、その通りにした。肉体的にやや状態が悪かったが「そんな中でも9回を投げられたので良かった」と及第点を与えられる結果に、まとめあげた。横手投げも「自分の感覚で適当に」と交えるなど、どんな場面でも対応できる術で、しのぎきった。

 この日は2試合連続で視察に訪れたヤンキースとナショナルズのほか、フィリーズを含めた米3球団がバックネット裏から熱視線を送った。今オフにもポスティングシステムでメジャー挑戦の可能性が取りざたされており、「値踏み」も佳境に突入してきた。【高山通史】