阪神が桧山進次郎外野手(42)と来季契約を更新する方針であることが19日、分かった。代打の神様としての勝負強さや、練習熱心で後輩に好影響を与えていることを高く評価した。阪神21年目は、在籍20年で並んでいた遠井吾郎(1958~77)を抜き球団史上最長記録となる。横浜戦は雨天中止となり、広島が敗れたため労せずして3位タイに浮上。猛虎の生き字引が、逆転優勝へけん引する。

 神様桧山が来季もタテジマに袖を通す。阪神がこの日までに、来季も契約を更新する方針を固めた。球団首脳は「8月のこの時期に十分な戦力として1軍にいるのですから、当然そういうことになるでしょう」と説明。今季は遠井吾郎と並ぶ阪神20年目だが、21年目は歴代OBが誰も到達していない領域になる。桧山自身も現役に強い意欲を持っており、球団史上最長の在籍記録を看板に12年のシーズンに挑むことが確実だ。

 球団が第1に評価したのは、42歳にして衰えを知らない勝負強さだ。ここまで40試合に出場して打率3割6厘、1本塁打、6打点。その1発は5月14日に中日岩瀬から打った球団新の代打14本目のアーチで、7月13日の巨人戦では9回に東野からサヨナラ犠飛を放った。相手投手の左右は関係なし。代打成功率3割超の切り札の存在は、チームにどっしり戦える安心感をもたらせる。逆に相手ベンチにこれ以上の脅威はなく、自軍に桧山以上の存在も見当たらない。

 練習熱心で真摯(しんし)に野球に取り組む姿勢も大きな評価の対象だ。球団首脳は「若手の手本になっている」と分析する。練習では、一打席限りの本番を想定して投手に真剣勝負を要求したり、速球派をイメージして数メートル前で打つこともある。代打の神様になって6年目だが、いつ「守れ」と言われてもいいように、外野守備の練習も欠かした日はない。堂々と手を抜いていいはずのキャリアと立場だが、常に自分に厳しい後ろ姿は、後輩たちのかがみになっている。

 桧山

 アマチュアの時は自分のために野球をやってきた。でもプロは応援してくれる人とか、ファンの人が喜んでくれて良かったなと思える、違う喜びがある。

 桧山が打席に立つと、甲子園だけでなく敵地でも、その日1番といえる大歓声が沸き起こる。グッズ販売も1、2位を争い、桧山も“日本一の応援”を励みに、20年間奮闘し続けてきた。安打数と本塁打数は球団の代打記録を塗り替えており、八木裕の98打点にあと8。ファンの声援をバックに、3部門制覇もカウントダウンだ。逆転優勝へ、もう一度集中力を研ぎ澄ます。暗黒時代も2度の栄光も知る神様が、チームに活を入れる。