<横浜1-3中日>◇28日◇横浜

 主砲外して勝った!

 中日落合博満監督(57)が不振の和田一浩外野手(39)を約3年ぶりにスタメンから外した。08年のFA移籍以来、故障以外で欠場させるのは初めて。若手主体の打線は3連敗中だった横浜三浦を攻略して3連勝。7月15日以来の貯金1とした。指揮官の執念のタクトに操られ、首位ヤクルトに3・5差に迫った。

 落合監督がついに聖域にメスを入れた。試合前、スタメンから和田の名前が消えた。27打席無安打、リーグ打率最下位にあえぐ昨季MVPはベンチで戦況を見つめた。チームにとっても08年のFA移籍以来、故障以外で先発を外れることのなかった主砲を3年ぶりに欠いての戦いとなった。

 この“非常事態”に若手5人が名を連ねた打線が奮起した。大島、平田、中田亮、野本、堂上直。チャンスに飢えている男たちが、3連敗中の横浜先発三浦に襲いかかった。まずは初回2死から3番平田が追い込まれてからのカットボールをフルスイング。打球は中堅右へ飛び込んだ。

 「1打席目だったので、特に何も考えず、三振でもいいくらいの感じで思い切り振りました」

 7号ソロで先制すると、1-0で迎えた7回には野本の二塁打をきっかけに相手の失策で待望の2点目を奪った。なお2死二塁から大島が右翼越えの適時三塁打を放ち、粘る三浦をKO。7月15日以来の貯金1は若い力がもたらした。

 試合後、連勝に沸くロッカー室から和田が足早に出てきた。389試合ぶりの欠場について、険しい表情で言葉を吐きだした。

 「力がないだけ。どう思うも、こう思うも(出場は)自分で決められるものじゃない。やるしかない状況。打てなければ試合に出られなくなるだろうし、結果がすべてですから」

 ただ、決断を下した落合監督はあくまで短期的な措置であることを強調した。

 「リフレッシュだよ。リフレッシュ。少しは休ませてやらなきゃな。明日休みだろ。2日間休めるじゃないか。試合に出ながら?

 これからはそうだよ。そういう選手なんだ」

 これまで落合監督は自ら故障を申し出ない限り、スタメン表に和田の名前を記してきた。この日の試合前もつきっきりで打撃指導した。だからこそ、あすからの阪神戦で先発復帰させることも示唆した。ただ、貧打にあえいでいた打線に聖域をなくした意味は大きい。100試合を消化して1戦必勝モードへ。指揮官の執念のメスとともに、王者の勝負強さがよみがえってきた。【鈴木忠平】