<中日3-6阪神>◇30日◇ナゴヤドーム

 落合竜が天敵にやられた。3点を追う9回2死満塁、藤川から得た大チャンスで打席に4番トニ・ブランコ内野手(30)。だが、ファンの願いを乗せた飛球は遊撃鳥谷のグラブに収まった。歓声がため息へ変わった。3カ月ぶりの主砲復帰で主軸トリオ「BMW」が復活したが、阪神岩田に6回まで2安打1得点と沈黙。4位に転落した。

 「明日からスタートだと思えばいいんじゃないのか。それなりのメンバーが帰ってきたんだから」

 落合博満監督(57)は敗戦後、笑みを浮かべた。指揮官の言葉通り、ようやく打線に迫力が戻った。午後4時前、試合前練習中のナゴヤドームに突然、背番号「42」が現れた。右手中指の故障で6月から戦線離脱していたブランコが3カ月ぶりに出場選手登録された。ナゴヤ球場での2軍戦を途中で切り上げ、駆けつけた主砲はいきなり4番で復帰。BMW復活にスタンドのボルテージも高まっていた。

 だが、現実は厳しかった。今季2戦16イニングで1点しか奪えていない岩田の前に2回に押し出しでもらった1点のみ。6回には無死からブランコが左前へ復帰後初安打を放ったが、続く5番和田一浩外野手(39)が遊ゴロ併殺で天を仰いだ。和田は5点差とされた直後の8回、榎田から31打席ぶりとなる中前適時打を放ったが、表情が晴れるはずもなかった。

 6番降格の森野将彦内野手(33)も3打数無安打で、ここ10試合36打数6安打、打率1割6分7厘。6回、新井の勝ち越しタイムリーは守備範囲にきたが、グラブが出なかった。主軸が精彩を欠けば、負けは必然だった。

 「何打席打ってなかったの?

 30か。いい経験しているじゃないか」。落合監督は和田に関してこう言い残した。ブランコは「もっと試合に慣れれば100%に近づく」と前を向いた。看板の主軸がそろった。あとは結果。最後に笑えるかどうかは3人のバットにかかっている。【鈴木忠平】