<阪神4-6中日>◇13日◇甲子園

 竜のタフネス右腕が、日本一になった!

 中日浅尾拓也投手(26)が阪神戦の7回から5番手として登板。2イニングを無失点に抑え、15試合連続ホールド。元阪神のジェフ・ウィリアムスの持つ歴代1位の通算154ホールドポイント(HP)に並んだ。チームは救援陣の活躍で逃げ切り今季初の5連勝。首位ヤクルトを5ゲーム差で追走している。

 ついに浅尾が頂点に立った。07年4月21日ヤクルト戦(神宮)で初のホールドポイントを記録してからわずか4年で歴代1位の記録に並んだ。表情はいつもと変わらない。そしてこの謙虚さもいつもと同じだった。試合後にベンチ裏から出てきた浅尾は日本記録に恐縮した。

 「まあ、勝てればいいです。あまり触れないでください。僕のことは大丈夫です」

 勝敗の分岐点に立つ男は最後まで冷静だった。2点差リードの7回に登板。先頭の新井に右翼線へ二塁打を浴びたが、表情ひとつ変わらない。続くマートン、柴田、林威助から簡単にアウト3つを重ねた。8回は四球1つは許したが、圧巻の3三振。今季4度目となる2イニングを無失点で切り抜け、15試合連続ホールドを記した。

 背番号41が投げればもう、大丈夫。ファンだけではなくチーム内からもそんなムードが漂う。今季はすでに62試合に登板。体には相当な疲労はたまっている。それでも努力を怠ることはない。

 日課にしていることがある。試合が終わり自宅に戻ると、必ずその日の投球をテレビで流して振り返る。「必ず何球かはおかしなボールがある。それを確認しないと次にいけませんから」。気になったところはその日のうちに解決して翌日には持ち越さない。

 今季初の5連勝に落合監督は上機嫌だった。序盤のリードを守りきり逃げ切る中日らしい展開。打線について質問されても、それを遮って救援陣を褒めたたえた。

 「それよりも途中でいったピッチャーだよ。よく抑えて帰ってきた。(浅尾の2イニングについて)先発が早い回で崩れて勝ってるんだからこればっかりはしょうがない」

 7連勝のヤクルトを5ゲーム差でピタリと追いかけている。混セの結末はまだまだ先。竜のイケメン右腕が逆転Vへの推進力になるべく、毎試合のようにマウンドに向かう。【桝井聡】