<ロッテ2-2日本ハム>◇1日◇QVCマリン

 2年ぶりリーグ制覇を目指していた日本ハムの夢はついえた。ロッテに引き分けたが、マジック1としていた首位ソフトバンクが西武に勝ち、優勝を決めた。一時は2ゲーム差まで肉薄するなどマッチレースを展開していたが、9月は6勝18敗1分けと失速し、力尽きた。残り14試合。クライマックス・シリーズ(CS)へ向け、猛追するオリックス以下を退けて2位を死守、日本シリーズへ勝ち上がることが、ここからの目標となる。

 開幕から数えて130試合目。その試合中に、最大の目標が、散った。3時間39分を戦って、延長11回ドロー。ソフトバンクの勝利を伝え聞いていた梨田昌孝監督(58)は、報道陣に囲まれると、1つ1つかみしめるように、言葉を並べた。

 梨田監督

 9月に入って勝てない状況が続いたからね。もうちょっと後半まで面白くしたかった。残り1、2試合というところまでいきたかったけど、力が及ばなかった。

 シーズン中盤からはソフトバンクとの2強状態となり、マッチレースが続いた。8月21日の時点では2ゲーム差にまで詰め寄ったが、背中はみるみる小さくなった。9月は6勝18敗1分け。つながらない打線と守備のミス、投手陣も踏ん張りきれず、投打の歯車は狂いに狂った。

 この日の戦いも、象徴していた。2試合連続で1回に先制しながら、追加点を奪って勝ちきることができない。7回無死一、二塁の場面では、左翼中田と中堅糸井が、左中間に飛んだ打球を「お見合い」して安打とされ、失点につながった。強風が吹くQVCマリンとはいえ、前日の9月30日にもあった同じミス。清水外野守備走塁コーチは、2人を呼び、きつく叱った。

 そのカツを、今後に生かさなければいけない。優勝は逃したが、CSから日本一への道はまだ開かれている。梨田監督も「1つでも多く勝つ。ゲームは残っているし、順位は決まっていない」と前を向いた。だからこそ、もう1度、原点に返って足元を見つめ直す必要がある。9回に一塁へ気迫のヘッドスライディングを見せたキャプテン稲葉は「まずは立て直さないと。勝ちたいってみんなが思わないといけないし、1つの方向を向いていかないと。CSに出たって結果は見えている」と、危機感を募らせた。退任を表明している梨田監督の有終の美を飾るために。悔しさが胸に刻まれたこの日を、“2度目の開幕”にする。【本間翼】