西武が難敵ダルビッシュの攻略に、ソフトバンク打線を手本にする。7月30日の試合で、決め球をコツコツバットに当てる作戦でダルビッシュを嫌がらせた。その作戦を取り入れて、平常心を奪う考えだ。前回11日の対戦では15三振を喫した相手に、揺さぶりをかけて、今日29日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの初戦を取る。

 ダルビッシュ攻略の難しさを知ってるがゆえにたどり着いた結論だった。前日練習を終え、歩きながら、切り込み役の栗山が口を開いた。

 栗山

 ダルビッシュは、ソフトバンクの攻め方を嫌がってた。ライオンズは振っていくというのはあるけど、そればかりではダメ。相手が嫌がる、イライラする展開に持って行ければ…。中島さんとおかわりには振ってもらって勝負して、脇をかためる選手がストレス、プレッシャーをかけられたらいい。

 栗山の言うソフトバンクの攻め方は、確かに今季一番ダルビッシュをいらだたせた。試合後、ダルビッシュはこう話している。

 ダルビッシュ

 ソフトバンクと西武はブンブン振ってくるので気持ちのいい勝負ができていた。今日は嫌らしいというか汚い野球をするなと思った。ブンブン振ってきてほしいね。

 今日の試合はCSの初戦。汚いもきれいもない。勝つ野球が求められる。土井ヘッドコーチは「相手は人間。ボールが消えるわけでもない。見えてるボールなんだから、それに立ち向かうしかない」と選手を鼓舞した。

 大げさに言えば、これを実践できるかが、CSの行方を決める。渡辺監督は相手のキーマンを誰かと聞かれると迷わず「初戦の投手でしょう。そこを崩せれば流れが来ると思う」とこたえた。滑り込みのCS進出から日本一へ。その最初の難関は、相手の嫌がる汚い攻めで切り抜ける。【竹内智信】