日本ハム栗山英樹新監督(50)が12日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で行われている秋季練習で、指導者としてのスタートを切った。中田、斎藤ら若手中心のメンバーを居残り練習まで視察。来季へ向け、一部の選手には複数ポジションを任せたい考えを明かし、これまでは定位置として固定されてきた選手でも、新しい可能性を探っていく構えだ。

 新監督の柔軟な思考で、チームが、選手が、生まれ変わる。これまでのチームの“常識”にとらわれることなく、新たな起用法を探っていく。

 栗山監督

 (コンバートのアイデアが)僕の頭の中にはいろいろある。無理強いはしないけど、チームの幅を考えたら『頼む』と言うこともあるかもしれない。1つのポジションにはこだわらない。

 ベテランまでを含め、選手には複数ポジションを守らせたい考えを明かした。

 これが、新指揮官が吹かせる新しい風だ。これまでの取材活動などを通じて、各選手には無限の可能性を感じていた。監督就任が決まってからは、各選手をさまざまなポジションに当てはめる「妄想」(栗山監督)を繰り返してきたという。

 選手に“ポリバレント”(多様性)の働きを求めるのは、チーム力の底上げを狙ってのものだ。スカウティングと育成で常勝球団になりつつある日本ハムは、FA補強などに多額な資金をつぎ込むような球団ではない。だからこそ、栗山監督は「幅を広げたい。そうなれば、チームに何かあったときにも対応できる」。仮に故障者などが出た際にも、戦力を落とさないようなチームづくりを目指す。

 今季、一塁と左翼を併用した中田も、そのままの方針で起用する考え。「(練習で)内野の動きをしていれば、下半身の割れだとか、打撃に通じるところもある」と両ポジションをこなすことで、さらなる効果を期待する。中田も「自分も含めて若い選手が多いし、いろいろなところを守らせてもらえるのはありがたい。いろいろ経験したい」と意気込んだ。

 ウインドブレーカーを脱ぐことはなく、背番号80のお披露目こそなかったが、指揮官としての初日は居残り練習までみっちり視察した。若手数選手とは、グラウンド上での「青空面談」も実施。「まずは僕がみんなのことを知る時間。知ってあげることが重要」。選手、チームを理解していく中で、さまざまな可能性が生まれてくる。【本間翼】