乱入だ~!

 来季から中日の指揮を執る高木守道氏(70)が28日、谷繁、浅尾ら主力10選手がオーバーホールを行っている三重県内の施設を電撃訪問した。名古屋市内から往復5時間の距離もいとわず、自らハンドルをにぎって駆けつけた。選手と個人的な付き合いを避けた落合博満監督(57)と対照的なコミュニケーション術で、来季への意気込みを示した。

 フットワークの軽さは現役時代と変わらなかった。高木次期監督が、主力選手がオーバーホールを行っている三重・伊賀市のメナード青山リゾートを電撃訪問した。「新聞で(オーバーホールを)やってるって知ってね」。名古屋市内から片道2時間半、往復で5時間。自らハンドルを握り車を走らせた。華麗なバックトスでならした往年の名セカンドは、やはり軽快だった。

 高木氏

 来季の話し合い?

 そんなのはないよ。一緒にごはんを食べて話をして帰るだけです。来年まで顔を合わす機会がないからね。

 驚いたのは訪問を受けた選手の方だ。ポカンとする浅尾、吉見を見つけると、自ら歩み寄りガッチリと握手。谷繁、和田らを食事会場で待ち受けると、そのまま食事を共にした。日帰りのため手に取ったのはウーロン茶だったが、70歳の顔は満面の笑み。選手にとってはまさにサプライズだった。

 居ても立ってもいられなかった。高木氏の正式な契約は12月からだが、1月の合同自主トレに参加する主力選手は少ない。そのため来年キャンプまで顔を合わすことができない。以前から「選手と早く会いたい」と話しており、オーバーホールは絶好の機会だった。

 異例とも言える訪問だが、これが次期監督の流儀だ。23日に落合前監督の信子夫人と名古屋市内の百貨店でトークショーを行った際「(前回の)監督就任のあいさつに家まで来てくださった。あんな監督はいないと落合も言っていた」と、92年の秘話を披露された。会いたい人には速攻でアタックする。これが高木氏の流儀のようだ。

 前日27日には「コツさえつかめば1000本だってできるよ」と、キャンプでノックバットを握る考えを明かした。連日のように講演やあいさつまわりに出向いているが、疲れた様子は一切ない。機動力を武器とする70歳が、電撃訪問で選手のハートをガッチリつかんだ。