サインは断るな!

 中日高木守道監督(70)とコーチ陣が2日、名古屋市内で就任会見を行った。会見では「選手ができなかったら私が全部サインする」と身近なサービスを義務化。ファン重視の高木流を貫き、3連覇を目指す。2年契約の契約金5000万円、年俸1億円。背番号は88に決まった。

 70歳監督が明確な方針を打ち出した。マイクを握り、前を見据えた。時間にして30分を越える“所信表明演説”。その言葉の端々には「ファン」というフレーズがちりばめられた。ファン第一主義。勝利が最高のファンサービスとしてきた落合政権との別路線をあらためて就任会見で強調した。

 「ナゴヤドームになんとかファンのみなさんに来ていただきたい。今までよりはサービスできると思う」

 ただ唱えるだけではない。実際に行動を起こすことを選手に促した。その第1段階がサインだ。「選手ができなかったら私が全部サインする。それでプレーに響くようじゃプロじゃない」。選手である以上、立ち止まってでもファンの要望に応えろ-。それが新監督の初めての指令だった。

 ファンと選手の垣根を低くする。そのためには率先して旗振り役になる。席上では来季のキャッチフレーズとして自ら用意した「ファンとともに」という紙を掲げた。球団からは直後に「まだ正式ではない」と訂正されたが、先月23日のイベントに続き、70歳監督がフライングしてしまうほどファンへの思いは強い。

 「私もいい年です。ただ、これからは年のことは考えません。落合監督の後で大変だろうと言われるけど、私はできることをやるだけ」

 この日は、自らの呼び名についてあらためてモリミチ監督と要望した。「私も若くなった気がするし、ファンの方も呼びやすい。ファンの方に“守道監督”という旗を作ってほしい」。頭に描くチーム像は、強くて人気のあるドラゴンズ。V3へ、まずはサインからコツコツと。常勝軍団をさらなる人気球団に生まれ変わらせる。【桝井聡】