あるぞ!

 佑ちゃん、開幕投手-。日本ハムの来季開幕投手候補に、斎藤佑樹投手(23)が急浮上した。栗山英樹新監督(50)は5日、エース・ダルビッシュがポスティングシステム(入札制度)での大リーグ移籍が取り沙汰されている現状を踏まえ、開幕投手は来春のオープン戦などを見て決める方針を明かした。首脳陣は大舞台で力を発揮する斎藤を高く評価しており、順調に調整が進めば2年目で大役を務める可能性が出てきた。

 チームで1人しか許されない開幕戦のマウンドに、斎藤が立つ可能性が膨らんだ。栗山監督はこの日、自らが栗山町につくった「栗の樹ファーム」で、来季開幕投手について口にした。「ケッペル、ウルフだって実力は分かるけど、性格はまだ分からない。(来春のキャンプ、オープン戦で)実際に見てみないと決められない」。先発候補の状態、実績、調子などを判断材料に、大役を任せる投手を決定していくつもりだ。

 その方針は、現在のチーム事情にも影響されている。今季まで5年連続で開幕投手を務めたダルビッシュは、ポスティングでのメジャー移籍がうわさされており、いまだ明確な態度を示していない。「ダルビッシュがいてくれることが一番」と話す栗山監督だが、万が一のことを考えれば、計算することはできない。開幕投手は早めに決めることを理想とするが「今は状況がそうじゃない」と頭を悩ませている。

 仮にダルビッシュが抜けた場合の開幕投手有力候補が、来季2年目を迎える斎藤だ。ルーキーイヤーは6勝6敗に終わったが、大舞台での勝負強さは折り紙付き。アマチュア時代には高校、大学で日本一となり、プロ入り後も4月17日のロッテ戦で初登板初勝利をマーク。日本中が注目した9月10日の楽天田中との投げ合いでも、8回4失点で初完投を果たしている。

 来季開幕戦(3月30日、札幌ドーム)でぶつかる西武とは、今季3度対戦して2勝0敗。パ・リーグで唯一負けていないチームと相性もいい。総合的に判断し、首脳陣は開幕投手の有力候補の1人として考えているようだ。栗山監督も「ダルビッシュとはタイプが違う。でも、試合をつくっていくのがエースの仕事。佑樹はそれが出来る」と期待した。

 来春キャンプ中の練習試合やその後のオープン戦で、ただ1つの椅子を懸けて武田勝、ケッペル、ウルフらと争うことになる。「先入観を捨てて」(同監督)目を凝らす指揮官の前で順調な調整を見せられれば、西崎幸広以来となる、入団2年目での開幕切符が手に入る。【本間翼】

 ◆日本ハムの開幕投手

 球団名が日本ハムになった74年以降、歴代最多は西崎幸広の8回。高橋直樹、岩本勉、ダルビッシュが5回で続く。連続では07~11年のダルビッシュの5年が最長。斎藤が来季開幕投手を務めれば入団2年目での大役になるが、入団2年以内での開幕投手は85年の津野浩と88年の西崎(ともに2年目)がいる。