阪神榎田大樹投手(25)が、来年2月1日からの春季キャンプを先発として迎えることが5日、分かった。和田豊監督(49)は1年目に引き続き中継ぎ起用も示唆しているが、球団首脳は「先発完投型を目指してやってもらう」と説明。左腕も強い先発願望を持ち続けている。オープン戦での結果を踏まえ来季の起用法が最終決定する見通しだ。

 「第6の男」に頼れるセットアッパーの名が浮上した。榎田が春季キャンプを先発でスタートすることが決まった。1年目で62試合に登板し、防御率2・27の好成績。「真弓監督フレッシュ大賞(M-1グランプリ)」も獲得した左腕の可能性を広げるため、球団首脳は先発に再挑戦させる方針を固めた。

 「先発完投型を目指してやってもらう。年齢的にもまだまだ若い。オープン戦ぐらいにチーム編成が固まるから、それまでは先発ということ」

 和田監督は11月26日に、榎田の起用法について「流動的というか、一応後ろで考えているが、先発もできる投手。自分の中にも先発で見てみたいというのはある」と救援での続投を示唆。ただ、今季も開幕前は先発ローテ争いを繰り広げ、シーズンは中継ぎを務め上げた経緯がある。開幕前の実戦8試合で防御率0・43と抜群の安定感を見せ適性は十分。初のオールスター出場の際には、巨人原監督に「先発やるんだろ」と“口撃”されたこともあった。

 11年シーズンは能見、メッセンジャー、岩田、スタンリッジ、久保の5人がフル回転した。両外国人も残留が決定し、来季もこの5人がローテ争いの有力候補だ。先発陣の懸念材料は「第6の男」。今季5人以外の先発投手の勝利は、わずかに2つ。問題解消のため、中継ぎだった小林宏の先発転向が決定した。さらに、榎田も先発争いに名乗りを上げれば、先発投手陣の競争も一層激しさが増す。

 一方で中継ぎに目をやれば、左腕のセットアッパー不足も課題の1つ。他投手との兼ね合いを踏まえ、最終決定する見通しだ。

 安芸秋季キャンプでは疲労回復を優先し、現在は強化指定選手として、鳴尾浜球場でトレーニング。走り込み中心のメニューで下半身強化に励む。「筋肉の数値より、感覚よく投げられるようにしたいです」。左腕は依然として強い先発願望を抱く。12年シーズン、大きく変わった先発榎田が見られるかもしれない。

 ◆先発と救援の調整法

 キャンプではほとんどの投手が初日からブルペン入りする。先発陣は多いときは200球近く投げ込むこともあるが、救援陣は多くても100球前後。スタミナが必要な先発陣は長距離を走るメニューが多く、救援陣は瞬発力を求め短距離メニューを多めに取り込む。今春のキャンプでは、先発陣が精力的に打撃練習に取り組む姿が見られた。