“脱球児”宣言だ。阪神藤川球児投手(31)が9日、大阪府のイベントで大阪市内の堀江小学校を訪問。統一球の攻略法を「スライダーを投げていれば飛ばない。(スライダーを)投げておけば、簡単に抑えられるという判断」と分析し、勝つために火の玉ストレートだけに頼らない覚悟を語った。チームを7年ぶりリーグ優勝に導くため、オトナの投球で勝利に導く。

 藤川は来シーズン、従来の投球スタイルを変えてでも「勝つ投球」に徹する心構えだ。150キロを超える直球でバタバタ三振を奪っていく-。誰もが抱く守護神のイメージが一変するかもしれない。統一球が導入されて一年。来季に向け、さらなるレベルアップの糸口を見いだしていた。

 藤川

 スライダーを投げていれば飛ばない。(スライダーを)投げておけば、簡単に抑えられるという判断。それでは野球じゃないけど。150キロのボールがバットに当たったら飛んでしまうこともあるけど、130キロのボールを振ってきたら飛距離が全く違う。

 勝つためにはスライダーを投げていくか問われると「もちろん。投手はうまくまわるんじゃないかな」とはっきり言った。

 今季は41セーブを挙げ、4年ぶりにセーブ王のタイトルを獲得。だが、藤川の頭の中には、4度のサヨナラ負けの記憶が色濃くこびりついている。そのいずれもが、自慢の直球にタイミングを合わされ黒星を喫したもの。防御率1・24をマークしたが、納得はしていない。11月30日の契約更改後には「普通にやれば0・60ぐらいはいけたと思う」と本音をのぞかせた。

 それを実現させるのが、スライダーの存在だ。反発力が低下した統一球でも、150キロの直球ならば長打を浴びる可能性をはらんでいる。スライダーのように130キロ台の球は、バットの芯さえ外せば外野へ運ばれることも少ない。「本当の投手の能力は判断できない」と話すが、勝てる可能性が高い球=スライダーという結論を導き出した。

 今季終盤には、スライダーを試す場面も見られた。来季を見すえ、試運転は終わっている。この日は、堀江小の児童702人に「夢」について語った。「夢がどんどん近づいて、目標に変わったらこっちのもの」。順調に行けば、来季中に海外FA権を取得する。夢がどんどん近づいているからこそ、7年ぶりのリーグ制覇、そして日本一への思いは人一倍強い。“球児”を脱却してでも優勝を奪いに行く。【鎌田真一郎】