正真正銘の鉄腕になる!

 巨人山口鉄也投手(28)が18日、プロ野球史上初となる「5年連続60試合以上登板」へ意欲を見せた。今季は開幕直後にケガで出遅れたが、10月22日の横浜との最終戦で、プロ野球史上5人目となる4年連続60試合登板に到達。11月下旬には慢性的に発症していたへんとうの除去手術を行い、体調も万全に整えた。稲尾(西鉄)、藤川(阪神)らも達成できなかった前人未到の記録に挑む。

 プロ野球史上初の快挙へ、鉄腕山口が動き始めた。この日、ジャイアンツ球場で約3時間半ウエートトレーニングなどで調整。今季は開幕直後に左胸の張りで離脱したが、中継ぎとして60試合に登板し、フル回転。それでも満足はせず「今年は(開幕後に)ケガをしてしまったので、1年間ケガをしないように、試合数もどんどん投げられたらいいですね」と、5年連続60試合登板がかかる来季に向け、力強く話した。

 不安はなくなった。11月下旬にへんとうの除去手術。先発転向となった昨年のキャンプ終盤にもへんとう炎で発熱し、調整が遅れた。その後、守護神クルーンの故障離脱により中継ぎへ再転向となった。今季もへんとうの腫れから発熱するなど、体調が万全ではない時期もあった。不安を払拭(ふっしょく)するため手術に踏み切り、約2週間入院し、12月中旬に退院。ベスト体重の85キロから体重が約8キロ減ったため「まずは体重を戻さないと」と、当面は体づくりに専念する。

 心強い話題もある。ソフトバンクからFA宣言した杉内が巨人入りとなれば、09年のWBCで共に戦った同じ左腕として積極的に技術を盗むつもりだ。「いろいろ聞いたり、見て盗みたい。チェンジアップやスライダーの意識を聞いてみたい」。今季は変化球の投球時に腕の振りが緩んだり、体の開きが早いことなどで痛打されたと自己分析。球界最高レベルとも言えるチェンジアップの使い手を見本にして、磨きをかける。

 鉄腕のフル回転がなければ、3年ぶりのリーグ奪回も見えてこない。「登板数と防御率をもっと上げたい。体を元の状態に戻して、(ピッチを)上げていこうと思います」と、先を見据える。前人未到の記録へ。さえぎるもののなくなった山口が突っ走る。【斎藤庸裕】

 ◆シーズン60試合以上登板

 連続シーズンは4年が最長。山口以外には56~59年稲尾和久(西鉄)61~64年秋山登(大洋)05~08年藤川球児(阪神)同年加藤大輔(オリックス)の4人が記録している。