中日ドラフト1位の高橋周平内野手(17=東海大甲府)が10日、スイングは清原&松井級と絶賛された。入寮一夜明けの自主練習で、名古屋で初打ちとなるティー打撃を披露。見守った水谷啓昭スカウト(58)から、両者に匹敵する素材と太鼓判を押された。今日11日から新人合同自主トレに参加し、竜の周平が本格スタートを切る。

 ブルン!

 ブルン!

 ブルン!

 高橋周が素振りだけで、ナゴヤ球場屋内練習場に爆音を響かせた。入寮一夜明けの自主練習。17歳とは思えない貫禄(かんろく)だ。そして始まった名古屋初打ちのティー打撃では、ひときわ豪快な打球音を響かせた。バコン!

 バコン!

 バコン!

 力強いスイングにはじかれた白球が、ネットを破りそうな勢いで突き刺さった。ミスショットもなく全部真芯だ。見守った水谷スカウトがうなった。

 水谷スカウト

 守りも足も含めて、総合的に森野が入って来た時より上でしょう。いや私が見た(中日の)ドラ1の中で一番です。打球の強さ、音が全然違うでしょ?

 清原、松井は別格だけど、匹敵するスイングの力を持っていますよ。

 84年から中日のスカウトと投手コーチを歴任する水谷氏はこの道約30年、近藤や井端らを発掘した名物スカウトだ。その大ベテランが同じ左の森野のほか立浪、福留ら歴代中日ドラフト1位の入団時と比較しても上と絶賛。しかもリップサービス抜きで日本を代表するスラッガー清原和博、松井秀喜級の素材と認めた。高校71発、ドラフトで3球団が競合した素材はやはり10年、20年に1度のダイヤの原石だ。

 高橋周

 今日はそんなに激しくやっていないので…。徐々に動いていきます。

 本人がさらりと言ってのけるあたりに風格すら漂う。急きょのティー打撃だったためバットは借り物。しかも手袋なしの素手打ちだった。マイバットとマイ手袋があれば、もっとド迫力になっていたことは間違いない。そんな豪快スイングの原点について、水谷スカウトは「下半身がどっしりできているから」と分析。今年の元日をはじめ、ランニングは毎日欠かさず行うなど、高校では徹底して下半身を鍛え上げてきた。しっかりした土台が清原&松井級のパワーを生む源だ。

 高橋周

 自信があるとかないとかでなくやらなきゃいけない。プロは自分(次第)なんで。昨晩も考えてました。やらなアカンと。

 キャッチボールでは自慢の強肩も披露。水谷スカウトが「そんなに投げて大丈夫か。オーバーペースになるな」と心配するほど仕上がりの早さを見せた。心身とも充実度は100%だ。

 午前中は、他のルーキーとともに中川区役所を訪れて異動届を提出。晴れて名古屋市民となった。そして今日11日からは新人合同自主トレが始まる。高木監督が電撃視察するかも知れない初日から、周平のエンジンは全開だ。【松井清員】