新セットアッパーもK!?

 阪神和田豊監督(49)が14日、大阪市内でMBSのテレビ番組に出演後、投手スタッフ構想を披露。久保康友投手(31)について「可能性は否定しない」とセットアッパーでの起用を検討していることを明かした。ブルペン強化を今後の課題に挙げており、先発右腕を配置転換させて、問題解決を図る考えだ。

 和田監督が熱いプランを胸に秘めていた。就任以来、最大の課題として掲げていた中継ぎ陣の編成。小林宏投手(33)を先発に転向させ、いかにセットアッパーを組み直すのか。候補として、もう1人の「K」が浮上した。

 「可能性は否定しない。ロッテ時代に中継ぎをやっていた頃のイメージがすごくある。バッティングコーチとしては、すごく嫌なイメージだった。ひとつの選択肢としてある」

 それは先発ローテーションを担ってきた久保だった。

 野手出身監督だが、守りの野球を掲げるだけに強化の目線はブルペンに向く。昨年はプロ1年目の榎田大樹投手(25)が奮闘したものの、守護神藤川球児投手(31)につなぐ中継ぎ陣のやりくりに苦労した。オフにはメジャーリーガーの五十嵐獲得に動いたが、パイレーツとマイナー契約を結んだ。1枚でも2枚でもほしいポジション。そこで目をつけたのが、器用な右腕だ。

 指揮官はラッキーセブンと呼ばれる7回の攻防を特に重視している。優勝した05年はJFKの最強トリオが君臨。藤川が7回を投げ、相手の勢いを完全に止めた。今でもそれが理想としてある。

 「7回で勢いを止めたり、流れを変える。それが優勝した05年の球児のイメージがある。去年、セ・リーグで優勝した浅尾があの回に出てくると、試合に大きな影響力がある」

 現実的には、藤川を守護神の座から動かすのは難しい。さらに榎田に対する持論も明かした。

 「個人的には頭(先発)というのはある。テンポがいいから、野手も守りやすく、攻撃につながりやすい。1度やらせたい」

 プロ2年目の先発転向も視野に入れている。和田監督は現在、現有戦力をフラットに見つめ直しているところ。就任後、ゼロベースでチームを作り直すことを宣言。さまざまなシミュレーションを重ね、その中で経験豊かな久保をブルペンに送ることが選択肢に加わった。

 「固定観念を捨てようと思う。もう1度、しっかりと洗い直してやっていきたい」

 セットアッパー候補には、経験者の久保田智之投手(30)や昨季復活した福原忍投手(35)らがいる。その中で新たに浮上した「K」の文字がひときわ光る。和田イズムが従来のイメージを覆すか。春季キャンプでの大シャッフルに注目だ。【田口真一郎】

 ◆久保の中継ぎ登板

 プロ通算27試合で救援登板し、計1勝2敗9ホールド、防御率3・24。ロッテ在籍時の08年交流戦で、阪神戦3試合リリーフに立ち、5回1/3を自責点1、防御率1・69の好成績。5月28日(甲子園)では4回から4イニングを投げ、5奪三振の好投。プロ初の救援勝利もマークしている。当時、打撃コーチだった和田監督にも強いインパクトを残したようだ。