待ってました、侍ジャパン!

 中日吉見一起投手(27)が26日、自身初となる日本代表に選出された。3月10日に行われる台湾代表との復興支援試合のメンバーが発表され、中日から吉見と浅尾の同学年コンビが代表入り。中日からは08年北京五輪以来、4年ぶりとなる代表選手の誕生だ。この日、選手、スタッフ合わせて95人が合同自主トレのために沖縄入りした。

 竜の大黒柱吉見に新たなモチベーションが加わった。沖縄の合同自主トレに向けて航空機に乗り込む数時間前。関係者から吉報が届いた。6年間のプロ野球人生で縁が無かった日本代表入り。復興を支援するチャリティー試合に日の丸を背負って出場する。表情は自然と引き締まった。

 「選ばれた責任感を持って投げたい。僕らは震災を体験したわけではないけど、人ごとではない。そういう場を作ってもらって選ばれたことがうれしい。勇気や希望を与えたい」

 中日にとっては4年ぶりの“日の丸”だ。竜戦士が代表のユニホームに袖を通すのは08年北京五輪以来。09年WBCの際は岩瀬、森野、浅尾、高橋の4人が候補に挙がりながら、ケガなどを理由に辞退した過去がある。侍ジャパンは国際大会で2連覇したが、中日は“蚊帳の外”だった。

 頭には早くも沖縄・北谷キャンプの調整法が出来上がっている。それは、ブルペンをギリギリまで封印し、キャンプの投球練習で投げ込む球数を極力減らすというものだ。

 「許されるなら第2クール(2月7日)からブルペンに入りたい。しっかりした形を作って入りたい。周りには流されたくない」

 ブレない信念の先に、夢も広がる。日本代表の侍ジャパンは常設が決定済み。正式参戦こそ決まっていないが、13年WBCの日本代表入りも、今季の活躍次第で現実味を帯びる。竜の大黒柱にとって、今年は特別な1年になる。【桝井聡】