伝説のシーズンをもう1度-。阪神金本知憲外野手(43)がキャンプ中も独自にハードなウエートトレーニングに取り組むことが26日、明らかになった。復活させた05年にリーグMVP&リーグVと生涯最高のシーズンを送った実績があるゲンのいいもの。近年は故障で回避していたが、劇的な体力回復で再び可能になった。絶頂のアニキが甦る!

 弾丸のようなライナーが右に左に乱れ飛ぶ。アニキ金本が鬼神のごとき活躍を見せ、2年ぶりのリーグ優勝に輝いた2005年。あの勇姿がもう1度見られるかもしれない。そんな期待を抱きたくなるプランを、金本は描いている。

 キャンプ中のウエートトレの復活だ。2月1日から29日まで行われる沖縄・宜野座キャンプで、通常メニューのほかに独自に作成したプランに沿って、貪欲に筋力アップを図る。

 もちろん疲労度は増すが、成果は絶大だ。オフに集中して筋力を増やしても、実技が増えるキャンプに入ると、まもなく「貯金」を食いつぶすことになる。継続して筋力を維持することが肝要とされている。

 何しろゲンがいい。このメニューを復活させた05年。2日に1回ほどのペースで打撃練習後にウエート室にこもり、みっちりと体を鍛え抜いた。それでも順調なキャンプを送り、成果はシーズン開幕後に如実に表れた。

 146試合に4番でフルイニング出場し、打率3割2分7厘、40本塁打、125打点と3部門で自己最高を記録。リーグMVPに輝いた。120得点、344塁打も自己最多でリーグ最多。金本が「伝説」になった1年といえる。

 06年、07年も同様に取り組んで好成績を残したが、その後は故障続き。2年連続の左膝手術や、今も一番の課題である右肩棘(きょく)上筋断裂で、キャンプはリハビリ状態。金本は「昨年は体がよくなくて悔しい1年だった。肩さえよければ…。肩の状態を上げて、筋力をいい状態のときに戻すことだけ」と言う。その目標は間違いなくかなえられている。

 昨季最終戦当日から練習をスタートさせ、年末のハワイ旅行以外はほぼ無休で走り続けた。本拠にしている広島のジム「アスリート」の平岡洋二代表がオーバーワークを心配してブレーキをかけたほど。努力は裏切らなかった。同代表によると足の筋力は自身最高だった「05年」の97%まで回復。右肩の痛みがなくなり、ベンチプレスなど各種種目のトータルで最高値の90%まで戻った。

 沖縄では恩納村のホテル内にも、宜野座にもウエート室がある。毎日全体練習後に立ち寄り、活用できる。休日前に集中して負荷をかけるプランもある。もちろん、シーズン中も継続して筋力を維持していく。

 リーグを制した03年も05年も猛虎打線の中心にアニキがいた。あの輝きをもう1度…。期待は膨らむばかりだ。【柏原誠】