<広島2-1巨人>◇4日◇マツダスタジアム

 代打丸のサヨナラ打で巨人に連勝!

 最高のシナリオは、先発福井優也投手(24)の好投から始まっていた。5回に痛恨の暴投で1点を失ったが、8三振の力投。巨人強力打線をつながらせず、粘りの勝利の原動力となった。早大の同期、日本ハム斎藤ばりに白星発進とはいかなかったが、コイの2年目福井も背負って好スタートだ。

 勝ちをつかみ損ねた。福井に2死から試練が訪れた。5回、ボウカーから自己最多タイとなる8個目の三振を奪ってからだった。長野、阿部に連打を浴び、村田を歩かせ、この日3度目の満塁のピンチ。高橋由への4球目だった。「それまで引っかけ気味だった、スライダーが抜けた」。倉のミットの、はるか上をボールが超えていった。暴投で1点を失った。5回6安打1失点。あと1人で、勝利が逃げていった。

 福井

 調子自体ははよかったです。立ち上がりも良かったし、あとはセットポジションだけ。セットで投げきれなかった。次につながればいいです。

 成長の跡は見せた。最速149キロの直球は力感たっぷり。オフに左肩が上がる癖を修正し、体重移動にロスのないフォームを求めた成果が、いきなり初戦で現れた。圧巻は3回だった。坂本を3球三振で打ち取ると、続くボウカー、長野からも三振。いずれも初球ストライクで主導権を握った結果だった。

 プロ初勝利したのと同じ状況だった。昨年4月17日、プロ初登板がマツダスタジアムでの巨人戦。キャンプ中から調整が遅れながら、開幕ローテーションに滑り込んだルーキーは、7回6安打2失点の好投。お立ち台では、両親への感謝の思いを口にし、涙を流した。1年がたち、欠かせぬ存在に成長した。

 3月30日の開幕戦で、早大時代のチームメートだった日本ハム斎藤が、完投勝利を飾った。だが、今回は「自分のことだけ考えていた」と連絡は取らなかった。「僕は背負うほどではないですけど。楽しくできたらいい」。2年目にも気負いはない。【鎌田真一郎】