<阪神3-4巨人>◇17日◇甲子園

 風穴をあけたのは良太だった。3点を追う5回2死二塁。阪神新井良太内野手(28)が聖地のムードを一変させた。初球、外寄りスライダーに体を崩しながら、思いきり振り抜いた。右膝を地面につき、大きなフォロースルーからバットを夜空に放り投げる。左翼フェンスを軽々と越す4号2ランで、1点差まで迫った。思わず右手でガッツポーズ。がむしゃらな笑顔がチームを鼓舞したのは間違いない。

 「いつも通りつなぐ気持ちで。僕はホームランを狙って打てるバッターじゃない。何とか何とか、という気持ちでやっています」

 豪快弾はメモリアルアーチとなった。本来の爆発力を取り戻せないチームにとって、7月13試合目にしてようやくの1号。2リーグ分立以降の球団7000号でもある。半世紀を超える歴史に名を連ねた。2回無死一塁では右前打。4回は先頭で左翼前に強烈なライナーを放ち、得点も決めた。自身2度目の猛打賞を記録したが、表情はやはり沈んでいた。

 「僕らはとにかく変わらないスタンスで…。もちろん、みんなが全力プレーをやっている。僕もその中の1人として、まだまだこれからも食らいついていきたい」

 接戦を落として3連敗。ここまで1発を決めた4試合で虎を勝利に導けていない。まだ心の底からアーチを喜べずにいる。今は自分ができることを一生懸命に…。その先に勝利が待っていると信じ、泥臭く全力プレーを貫く。【佐井陽介】

 ▼新井良が5回に4号2ランを放ち、1950年の2リーグ分立以降の阪神7000号を記録。1936年の球団創立以後通算7365本目。本塁打数は巨人、西武、中日、ソフトバンク、オリックスに次いで6番目。

 ▼新井良の本塁打は7月のチーム1号。6月30日(神宮)にブラゼルがヤクルト・ロマンから2回に8号2ランを放って以来、13試合ぶりで新井良まで490人ノーアーチだった。