<オールスターゲーム:全パ1-4全セ>◇第1戦◇20日◇京セラドーム大阪

 豪快に振り切った日本ハム中田翔内野手(23)の打球が、落ちて…こない。左翼手高橋由が、三塁手宮本が、キョロキョロと“怪奇現象”に目を丸くした。3回の第1打席だ。ヤクルト館山の139キロ直球を、京セラドーム大阪の天井にぶち当て、打球はそのまま吸い込まれた。ローカルルールで記録は二塁打。悠々とたどり着いた二塁ベース上で、少しだけ誇らしそうに白い歯を見せた。

 中田

 しっかりと捉えられた。上がりすぎたけど、(スタンドまで)いったかなというのはあった。誰もボールを持ってないから、あれ?

 入ったのかなと思った。

 天井がなかったら…というのは神のみぞ知るだが、スターぞろいの華やかな球宴で、圧倒的なパワーを見せつけたのは間違いない。

 初めて出場した昨季の球宴は、第3戦9打席目で初安打を放った。「2度目だと気持ちが違う。楽しめた。楽しんでやらないと、見てくれている人にも失礼」。今年は最初の打席に、衝撃の一打で「H」ランプを点灯させた。

 舞台となった京セラドーム大阪は、今月5日のオリックス戦で打球処理後にズッコケ、飛び出した走者を刺すミラクルプレーで喝采を浴びた場所。中学生時代、ボウリングの球が指から抜けずに、天井へと投げ飛ばして穴を開けた“天井弾”の逸話を持つ中田が、そのパワーで、再びファンを魅了した。

 昨年に続き3試合フル出場が濃厚。「暑くて、しんどかったぁ」と汗をぬぐったが、満員のスタンドは中田のプレーを楽しみに待っている。【本間翼】◆京セラドーム特別ルール(抜粋)

 (1)打球がフェア、ファウル地域の区別なく天井、スーパーリングに当たった場合、またはスーパーリングの内側に入りすぐに落ちた場合はボールインプレー。地上に落ちる前に野手が捕球すればアウトになる。

 (2)打球がフェア地域内のスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッド。打者、走者には二個の安全進塁権が与えられる。

 (3)打球がフェア地域上にある一番外側のスーパーリングに当たった場合、および中堅のフェンス上の懸垂物に当たった場合は本塁打とする。