良太、思い切り狙え!

 セ・リーグ史上初となる兄弟アベック弾を達成した新井ブラザーズの弟、阪神新井良太内野手(28)に「本塁打指令」が下った。片岡打撃コーチは当面、重圧のかかりにくい7番での起用をほのめかした。逆襲のキーマンとして、持ち味である思い切りの良さを最大限に生かしていく。

 一夜明けた甲子園には、前夜の余韻が残っているようだった。セ・リーグ初となる新井兄弟のアベック弾を含む、4本塁打での快勝劇。中でも攻守にわたって主役となったのは弟新井良だった。今日31日からは本拠地にヤクルトを迎えての3連戦。CS圏内を目指すためには引きずり降ろさないといけない相手でもある。逆襲のカギを握る男の起用法を、片岡打撃コーチはこう説明した。

 「良太は3番ではまだちょっと厳しいかなというのがあった。ああいう打順で、思い切り打たせるのが彼の持ち味かなと思う」

 球宴前からの好調を買われて、後半戦開幕から3番に抜てきされた。重圧からか、4試合で13打数2安打、打率1割5分4厘と本来の力を出せなかった。前日、7番へと打順を変更した途端に豪快な本塁打を放ってみせた。

 片岡コーチの言葉には、思い切りを失わないでほしいという願いが込められている。前日の本塁打ではガッツポーズを繰り出し、次打席で三浦から背中に死球を受けた。派手な感情表現に対しての警告ともみられるが、少なくとも、好調な打者への洗礼でもある内角攻め。これも乗り越えなければならない壁だという。

 「プロの洗礼を浴びて良かった。認められた証拠。あれで腰を引いてるようではいけない。エラーしたり、今まで打ててたボールが打てなくなったり、怖さが出てくるけど乗り越えていかないといけない。これも全て経験だから」

 今のチームにとって新井良の思い切り、はつらつさが、得難い武器なのは間違いない。三浦から受けた“洗礼”のように、徹底した内角攻めなど、他球団のマークが厳しくなることも予想される。それでも臆することなく、1発狙っていけ!

 逆襲のキーマンに対する期待は大きい。【鈴木忠平】