<日本ハム4-1楽天>◇4日◇札幌ドーム

 悩み続けてきた4番に、復調のきざしが見えた。日本ハム中田翔内野手(23)が楽天14回戦(札幌ドーム)の7回に、左翼スタンドへ今季初の2試合連発となる13号2ランを放った。開幕当初は極度の不調に悩まされたが、球宴以降は37打数12安打、打率3割2分4厘、3本塁打と結果を残している。主砲が引っ張るチームは、ガッチリ首位を守った。

 充実感みなぎるスッキリとした表情で、マイカーに乗り込んだ。中田が今季初の2試合連続本塁打。「(感触は)よかったですよ。完璧でした。チームがいい方向にいっているし、自分の中でも吹っ切れたものがある」。心情を表すかのように、心地いいエンジン音を残して球場を後にした。

 1点リードの7回だ。2死一塁で、マウンド上には楽天ハウザー。1ストライクからの2球目、124キロのスライダーにドンピシャでバットを合わせた。打球は一直線に左翼スタンドへ。6回には3歳下の西川が、代打出場で逆転適時打を放っていた。中田は「遥輝(西川)が大事な場面で、代打という難しい立場で打ってくれた。何とか自分も頑張ろうと気持ちが入った打席ではあった」。後輩から受けた刺激を、結果として形にした。

 栗山監督からは「チームを勝たせる4番」という役割を求められてきた。だがシーズン序盤から低迷。打率は2割を切り、好機をつぶす場面も多かった。「使ってもらっているのに、情けない」。きっかけをつかむために、ただただ汗を流した。休日も返上で打撃練習。練習パートナーが欲しいときには、マンツーマンで指導に当たってくれている福良ヘッドコーチにも直々にメールする。

 球宴以降は37打数12安打、打率3割2分4厘、3本塁打。栗山監督は「オールスター明けは4番の仕事をしてくれている。本塁打王もまだまだ可能性あるんじゃない?」と頼もしく見つめた。4回の攻撃前には、先頭打者だったにもかかわらず、トイレに駆け込む落ち着きっぷり。なかなか姿を見せないため、何かアクシデントがあったのかとベンチへ歩み寄る審判に、苦笑いで説明する栗山監督。だが、2戦連発は“ウン”ではない、本人の努力のたまものだ。【本間翼】